2021ミラノ~サンレモの結果と感想
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春を告げるプリマヴェーラの異名をもつ、一年で最初のモニュメント、ミラノ~サンレモ。いつものように結果(展開)と感想を簡単に書いていく。
残り47km、いよいよレース開始
スタートから250km近くレースが進んだが、いつものミラノ~サンレモのように特に何もなく逃げとメイン集団は走り続けていた。
だがここまで6名で逃げていた逃げ集団は、Capo Cervoのちょっとした登り(2kmで平均斜度2.5%)で少しスピードアップしたか?2名の選手が逃げから脱落。
その結果、逃げに残ったのは次の4名。
- Trek-SegafredoのNicola Conci
- MovistarのMathias Jorgensen
- Bardiani-CSF-FaizanèのAlessandro Tonelli
- Intermarché-Wanty-GobertのTaco van der Hoorn
このメンバーのチームで注目は、Trek-Segafredo。というのもエースであり、ミラノ~サンレモの優勝経験者ヴィンツェンツォ・ニバリがいるからだ。メイン集団でもTrek-Segafredoは積極的に集団前方で展開する。逃げにチームメイトを乗せ、メイン集団では前方で危険回避と集団コントロールか。やる気まんまんである。
その後、いよいよ最初の勝負所チプレッサに向けてメイン集団の速度と緊張感が高まっていく。ついに今年のミラノ~サンレモが実質的にスタートする!
ここからはちょっとしたパンクなどのトラブルも危険なゾーンに突入する。集団が高速化するため、復帰にエネルギーを使ってしまうからだ。
チプレッサを前にメイン集団は逃げとの秒差を少しずつ詰めていく。
チプレッサ!
メイン集団はチプレッサ直前にBora-hansgroheがピーター・サガンとともに前方へ移動。各チームが位置争いと危険回避のため高速化。時速70kmでチプレッサにつっこむ!
チプレッサは距離5.6km、平均斜度4.1%、標高239mの登り。集団先頭にはJumbo-Visma、Bora-hansgrohe、そしてINEOS Grenadiers。特にJumbo-Vismaが積極的にペースを作る。ここで、完全に逃げ集団を捉えて吸収。
誰かが飛び出すかと思われたが、特にそのような動きもなく、チプレッサを登りきってその下りへ。この下りでINEOS Grenadiers軍団がキャプテンのルーク・ロウを先頭にして、集団の頭を抑えて万全の危険回避。さすがの動きである。
ポッジオ!
集団は最後にして最高の勝負所ポッジオに向けてまたしても高速化!
そんな状況で先頭を取ったのはTT世界王者フィリッポ・ガンナ!INEOS軍団がガンナを先頭にポッジオに突入!
ガンナがペースを作り、エースのトム・ピドコックが、そして他のライバルたちもアタックのチャンスを窺う・・・
アラフィリップキタ━━━━(Д゚(○=(゚∀゚)=○)Д゚)━━━━━!!!
スプリンター勢は全滅か!?と思われるアタックだが、なんとカレブ・ユアンが余裕の表情でついてく!もちろん、ファン・アーアルト、マチュー、サガン、ファン・アーヴェルマートたち優勝候補もトゥゲザーだ!
結局このアラフィリップの動きは不発。ある程度のふるい落としができただけで、10人ほどの選手が残ってしまった。
ゴール前と結末
ポッジオの下りは危険な下り。今年も犠牲者が!
だが有力勢は無事に下りきり、最後はゴール前の集団スプリントになるか。スプリント力のある選手ばかりが残っているため「これ、誰が勝つかマジわからん」。そう思っていたら・・・
残り2km。一瞬のスキを見出し、Trek-Segafredoのジャスパー・ストゥイヴェン(Jasper Stuyven)が一人で飛び出す!
ぐんぐんと加速して、この差!
後続は牽制が入ってて誰も追わない!これはいけるか!?カンチェラーラ神よ、ストゥイヴェンに力を!
だがゴールを直前にして後続も差をつめて、ゴールライン数百メートル前でこの光景!
ストゥイヴェンは覚悟を決め、誰よりも先にスプリントを開始!その直後にマチューもスプリントをスタート!
うおおおおおおおおお!!
この後の結末はこちらの動画を。
ラスト800mから
— J SPORTSサイクルロードレース【公式】 (@jspocycle) March 20, 2021
クラーウアナスンとストゥイヴェンが先行
後ろから小集団スプリント追いかける🚴♀️️💨
Cycle*2021 ミラノ〜サンレモ
~J SPORTSオンデマンドでLIVE配信中~https://t.co/g6PkKFxaUt#MilanoSanremo #jspocycle pic.twitter.com/PlKFAdLRup
トップ10
順位 | 選手 | チーム名 | タイム | 秒差 |
---|---|---|---|---|
1 | Jasper STUYVEN | Trek-Segafredo | 06:38:06 | 00:00 |
2 | Caleb EWAN | Lotto Soudal | 06:38:06 | 00:00 |
3 | Wout VAN AERT | JUMBO-VISMA | 06:38:06 | 00:00 |
4 | Peter SAGAN | BORA – HANSGROHE | 06:38:06 | 00:00 |
5 | Mathieu VAN DER POEL | ALPECIN-FENIX | 06:38:06 | 00:00 |
6 | Michael MATTHEWS | TEAM BIKEEXCHANGE | 06:38:06 | 00:00 |
7 | ARANBURU DEBA | ASTANA – PREMIER TECH | 06:38:06 | 00:00 |
8 | Sonny COLBRELLI | BAHRAIN VICTORIOUS | 06:38:06 | 00:00 |
9 | Søren KRAGH ANDERSEN | TEAM DSM | 06:38:06 | 00:00 |
10 | Anthony TURGIS | TOTAL DIRECT ENERGIE | 06:38:06 | 00:00 |
まとめ
いやーまさかのダークホースの優勝というのが正直な感想。ポッジオの登りを耐えられるとは思っていなかった。アラフィリップのアタックとその他の有力勢の動きが圧倒的なものではなかったのかもしれない。アラフィリップに鋭さがなかったか?みんな疲れていたのか?
もちろんジャスパー・ストゥイヴェンはクラシックスペシャリストとして経験をつみ、実績も残していたわけやけど、まさかモニュメントで勝つとはね!
しかも残り2kmで思い切っての単独アタック。見事に逃げ切ったと言ってもいいだろう。カンチェラーラ魂が乗り移ったか。リスクなしに栄光なし!
セーアン・クラーウアナスン(チームDSM)が追いついてからは上手く後方との差をコントロールしたのが勝因か?もし、クラーウアナスンが来なかったら一人でガチ踏みを続けざるを得なくなって、最後にガス欠で勝てなかったかもしれない。
追ってきたのがクラーウアナスンだったこと、そして彼一人だけだったことが幸運だったか?これが仮にマチューやカレブ・ユアンだったら、最後に一騎打ちのスプリントで負けていたかもしれない。
当たり前だが勝利にはいろいろな要素が複雑に絡んでいることを再認識できた面白いレースだった。
トレックのクラシックにおけるダブルエースのうちマッズ・ピータースン(Mads Pedersen)は、2019年に世界王者に、昨年はヘントで優勝、そして今年もクールネで優勝。その良い流れを受けてか、もう一人のエースのストゥイヴェンも本日予想外のモニュメント優勝。
トレックは、天才クライマーのチッコーネ獲得と活躍、そして期待のアメリカ人若手クイン・シモンズなど、チームに良い風が吹いているように思える。
トレックの時代が再びやってくるのか??
DON’T DROP IT @ryanmullen9, we want that for celebrating! 🍾 #MilanoSanremo pic.twitter.com/SYhtHFho7E
— Trek-Segafredo (@TrekSegafredo) March 20, 2021
ストゥイヴェン得意のクラシックレースだったとはいえ、並み居る強豪の中で掴んだこのモニュメントの勝利は彼本人にとってもチームにとっても本当に意味のある勝利になりましたよね。
主さんがいつか言っていた、トレックセガフレードは今年はステージではなくワンデーに絞って注力していくのもアリなのではないでしょうか?
結構上手い勝ち方をしてるなぁ、そんな感じがしますよね。
最近だとモレマも結構ワンデーで実力の出せる選手だし、ピーダスン、ストゥイヴェン、トゥーンス…結構役者が揃ってる気はするのですが。
カンチェラーラ、デゲンコルプといなくなりどうなることかと思っていたら、低迷期を乗り越えて上昇気流に乗り始めた感があるブヒね。
役者が揃った(チーム力が安定してきた)というのもあるし、チームに柱ができて、チームの作戦・方針がシンプル(明確)になったのかもしれないブヒね。
グランツール優勝はさすがに無理だけど、どんどんワンデイやクラシックで暴れて欲しいブヒね。アラフィリップ、WVA、MVDPだけが主役じゃマンネリ化してしまうからね。