ピーター・サガンが語る今シーズンの総括と、コロナでロードレースが失ったその美しさ
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今年もコロナのせいで多くのレースが中止になったり、延期になったりした。コロナ初年度だった昨年はとんでもない混乱とまるで世界大戦のような暗黒時代感があったが、そんな昨年と比べればはるかにマシになったとはいえ、今年もコロナの影響は大きかった。
そんなコロナ禍でのロードレースについてプロトンのロックスター、ピーター・サガンがスペインメディアMarcaのインタビューで話している。
情報源:Peter Sagan says “part of the beauty of cycling has been lost” amid COVID-19 restrictions
今シーズンの感想と引退の時期
今年のピーター・サガンは、春のクラシックシーズン前にコロナに感染してしまい、十分なトレーニングが積むことができずクラシック戦線を諦めざるを得なかった。ただ4月のロンド・ファン・フランデレンには出場し15位という結果を残した。
残念な春となってしまったが、その後のジロ・デ・イタリアではステージ優勝を1つ挙げ、最終的にはポイント賞(マリア・チクラミーノ)を獲得。スロバキア選手権ロードレースでも優勝し同国のチャンピオンに。
しかしその後のツール・ド・フランスでは第3ステージでカレブ・ユアンが最終コーナーで落車したことに巻き込まれ、サガンも落車し負傷。サガンはその後も走り続けたが第12ステージをDNFでツールをリタイア。
そして今シーズンの最後に本物の地獄と化したパリ~ルーベに出場するも57位という結果で今年を終えた。
乱暴にまとめれば、春のコロナ→ジロでの好結果→その後はイマイチという1年となったわけだが、サガンとしては、
“It has been a good season, although not perfect
訳「良い一年だったと思うよ、まぁ完璧じゃなかったけどね」
ハイレベルな新世代の台頭を受け、年々プロトンの先頭を走るのはより苛酷に、より難しくなっている。そんな最近のロードレースの現実を鑑みれば、序盤のコロナ感染からレースに戻れたこともあって悪くないシーズンだったとの気持ちがあるようだ。
来年からサガンはフランスチームのトタルエネルジー(TotalEnergies)で走ることになっている。そしてMarca紙によると2022年シーズンはアルゼンチンのブエルタ・サン・フアンでスタートするようだ。
また来年の大きな目標としてはオーストラリアで開催される世界選手権で、4度目の世界王者になることのようだ。最大のライバルは地元オーストラリアのトップスプリンター、カレブ・ユアンとなるだろう。地元開催ということでモチベーションも高く、地の利もある。
その他のレース予定などについてはまだ未定。
そして今後いつまでロードレースをやるのか、引退について考えているのかという点については、「アレハンドロ・バルベルデを尊敬してるけど、彼のように40歳超えても走ることはないやろね。でもま、今は引退どうこうは頭になくて、ただしっかりと走りたいということだけしか頭にないよ」と述べている。
コロナでロードレースが失ったもの
そしてピーター・サガンは、コロナがロードレースから奪ったものについて次のように述べている。
“I do not think that now the races are more fun, on the contrary, part of the beauty of cycling has been lost.
訳「コロナ禍でのロードレースが以前よりおもしろいとは思わへんね、ロードレースの美しさがちょっと失われてるからね。」
“Without people, cycling is different and worse.”
訳「観客やファンがいないから、ロードレースは別物になってるし、コロナ前よりも美しさがなくなってる」
プロトンにもいろいろな性格・考え方の選手がいるだろうが、陽キャ(?)のピーター・サガンらしく、やはりファンなどの「人との交流」「観客の熱狂」が彼にとって重要であり、またロードレースの美しさの1つだと考えている。
これは一般論としての話だけでなく、サガン自身がファンや観客からエネルギーをもらっているということでもあるのだろう。だからこそエンターテイナー?ロックスター?として見ている者を楽しませてお礼をしたいという気持ちもあるのだろう。
でもコロナ禍ではなかなかそれが難しい。最近はレースの観客も戻ってきているが、シーズン中に移動ではやはりチーム関係者以外の一般人との交流は控えなければならない。それがサガンとしても残念との認識だろう。