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サラリーキャップ制限や予算制限は無意味?ロードレースのチーム間の戦力不均衡を調整する方法論

ロードレースのチーム間の戦力不均衡を調整するためのサラリーキャップは、「迂回献金」を増やすだけで無意味?

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知ってのとおりロードレースの最高峰ワールドツアーにおいても、予算の多いチームもあれば少ないチームもある。基本的に予算の多いチームは強い傾向がある。イネオスやUAEなどがまさにそうだ。金満チームが強い選手を集められるのは資本主義の世界だけにどうしようもないが、各チーム間の戦力バランスが著しく偏るのは、長い目で見た場合ロードレース界を蝕む病巣となり得る。

そこでときどき議論の俎上にのせられるのが、選手年俸の制限、いわゆるサラリーキャップ制度を導入すべきかどうかというものだ。だが、このサラリーキャップを導入しても有名無実になる可能性がある。

情報源:“Salary cap” is the new “lotta all’evasione fiscale”

チーム間の戦力バランスの偏り

現時点でワールドツアーレベルのレースでは、総勝利数59のうち実に44をも特定の4つのチームだけであげている。およそ74%の支配率だ。そのうちわけは現時点で、

  • ユンボ・ヴィズマが18勝
  • UAEが10勝
  • スーダル・クイックステップが9勝
  • アルペシン・ドゥクーニンクが7勝

となっている。

これら上位4チームが、ワールドツアーの3/4を支配していると言えるか。このような戦力の不均衡を正すために、選手年俸を制限しようというサラリーキャップの導入が議論のテーマになる。

サラリーキャップは無意味?

昔と異なり現代のロードレースのプロチームは国際的になっている。ワールドツアーレベルでも中東チームが複数存在しているのがその象徴だろう。ひょっとしたらそのうち中国国籍のワールドツアーチームも登場するかもしれない。

そして国が違えば、その会計ルールも異なる。またルールは同じでもそのルールの運用の仕方が異なることもあるだろう。ある国では厳格に、でも別の国では緩めに審査ということもあるだろう。そして会計ルールは複雑怪奇なもの。たとえUCIがワールドツアーチームを監督していても、そうした各国ごとに異なる複雑な会計ルールをいちいち全て把握し、詳細に監査するのは現実的に不可能。ようするに、「やりようはいくらでもある」ということだ。

仮にサラリーキャップを設けたとしても、チームの書類上に現れない形で選手の年俸を高くすることは可能。政治家の迂回献金などを思い浮かべてほしい。チームの公式スポンサーからの予算ではなく、選手個人につく個人スポンサーがお気に入りの選手にお金を払う方法もあるということだ。個人が稼いだお金をどう使おうが資本主義では自由。だったら選手に対して個人的に「献金」をしてもいいだろう。そしてそれはチームの書類には記載されないお金だ。チームはそのお金のやりとりに関与していないからだ。

だったら、チーム公式スポンサーがまず第三者にお金を供与し、その第三者が個人的にそのチームの選手に献金すれば、迂回献金ならぬ迂回年俸?迂回ボーナス?というメソッドのできあがり。お金のやりとりの過程に複数の会社や個人を関与させればさせるほどお金の流れを追うのは困難となり、加えて上述のように国ごとに会計ルールや税金のルールが異なり、そのルール自体がそもそも複雑という事情もあるだけになおさらだ。

こうなるとサラリーキャップは実に空虚なものになる。

予算ではなく、UCIポイントのルールを変更すべき?

上述のように予算について着目しても無意味。そこで、情報源記事が提案するのは選手やチームに付与される「UCIポイントについてなんらかの規制をする」という手法だ。

その1つの方法として例に挙げられているのが、同じチームが一定以上のポイント数を持つ選手を二人までしか保有できないというルールの導入だ。

たとえば、ユンボ・ヴィズマならばUCIポイントのポイント稼ぎ頭は、ワウト・プールス(Wout Poels)、ヨナス・ヴィンゲゴー(Jonas Vingegaard)、プリモシュ・ログリッチ(Primož Roglič)たちだろう。

これら3名が1500ポイント以上をもっていたとする。しかし、仮にUCIルールとして、「1500ポイント以上の選手は1チームにつき2人まで」というルールがあったとしたら、ユンボはその対象となる選手のレース数を減らすなどしなくてはならない。また、そもそも強い選手を一定数以上は獲得しないという方針にせざるをえない。

こうすることでサラリーキャップを導入しなくても、チーム間の戦力バランスを調整できるのではないかというアイデアだ。

ただしもちろんこれは情報源記事が提案する1つのアイデアであって、完璧なものではない。全てのものにメリット・デメリットがある以上、このアイデアにデメリットはあるだろう。たとえば、選手の移籍活動・移籍交渉に悪影響が出るかもしれない。

強いチームがいれば弱いチームもいるのはサッカーだろうが野球だろうが当たり前で、ロードレース界でもそれは当然。むしろそのほうが健全なのかもしれない。

だが問題はその格差が、ロードレースの未来を損なうほどに著しくなる場合だ。個人的にはまだ現状そこまでのレベルではないと思うのだが、今後を見据えるとこうした議論はもっと必要になるのかもしれない。

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2 Comments

  1. 普通ならどのスポーツも強豪チームあると思うけど、結局上手く調整したスポーツあるんですか?

    • 全くなし!と思うブヒね。
      プロスポーツ界の中で、数年ごとに優勝したりランキング上位のチームがころころ入れ替わってるようなスポーツ界があれば、それは調整うまくいってるということなのかも?
      そんなのがあるのか知らないけれど。

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