ポガチャルのツールが･･･2023ツール・ド・フランス第17ステージの感想・結果・ハイライト動画

第16ステージはヨナス・ヴィンゲゴー（Jonas Vingegaard）まさかの異次元すぎる走りに驚愕と戦慄を覚えたわけだが、続く昨夜の第17ステージでは別の意味でのまさかという驚きが世界を駆け巡った。

第17ステージのコース

いつもの通りこちらの記事でどうぞ。

今夜は大会最恐ステージ！2023ツール・ド・フランス第17ステージのコースについて

感想・ハイライト

ポガチャル落車！

危険な下りにマット設置

チッコーネと山岳賞

今日の山岳賞バトルは同ジャージを着るジュリオ・チッコーネ（Giulio Ciccone）と、そのチームメイトのマティアス・スケルモース（Mattias Skjelmose Jensen）が大人数の逃げに乗り、最後の超級を除いて全ての山岳ポイントを1位通過。がっつりとポイントを稼ぐことに成功。逃げのメンバーは山岳ポイントを狙う選手がいなかったこともあり、誰もチッコーネの邪魔をしなかった。

最後の超級山岳はポイントが2倍になる日だが、その超級でヴィンゲゴーにポイントを取られてもチッコーネはまだ山岳賞を狙えるだけの貯金を作った。

超級でポガチャル終わる･･･

最後の超級山岳で、昨日に続き今日も誰も予想していなかったシーンが出現した。今日絶対に攻撃をしかけるだろうと期待されていたタデイ・ポガチャル（Tadej Pogačar）が、まだ勝負どころではない段階で一人遅れていってしまう。

このポガチャルの不調を知り、ついにユンボが総攻撃！先頭で加速。さらに前にいたチームメイトたちも降りてきてヴィンゲゴーをアシスト！その後すぐにヴィンゲゴーは単独で抜け出し、先頭集団を追う。そこにはまだチームメイトのケルデルマンもいる！

一方で緊急事態に陥ったタデイ・ポガチャル（Tadej Pogačar）をUAEのメンバーも支えようとするが、ポガチャルはチーム無線で「俺は終わった」と伝え、チームはアダム・イエーツ（Adam Yates）の表彰台狙いに戦略を切り替えることが確定となる。

激坂オブ激坂でフェリックス・ガルvsサイモン・イエーツ！

一方でレースの最前線では今日のレースに全てをかけ、逃げメンバーを複数送り込んだAG2RとJayco-AlUla。AG2Rは今日はガルがエース、Jaycoはサイモン・イエーツがエース。

そのガルが逃げ集団から単独で飛び出し、ロズ峠の1位通過を狙って激走。今日のロズ峠は山頂フィニッシュではなく、山頂後は下って、その後はちょっと走ってゴール。そのため単独で1位通過できればステージ優勝の可能性は高い。

そしてそのガルを追うのがサイモン・イエーツとラファウ・マイカ（Rafał Majka）だが、ポガチャルが終わってしまっただけにステージ優勝を狙えるのはこのマイカだったが、その彼もサイモンについていけない。結果、ガル vs サイモンの構図となる。ガルとサイモンとの差は20秒前後！

ヴィンゲゴーにトラブル発生！

ヴィンゲゴーはケルデルマンをアシストにして、快調に先頭を追いかけるが残り8kmでまさかのトラブルが発生する。

なんとモトバイクが坂を登れずにストップ。それに大会車両が巻き込まれ大勢の観客もいるため渋滞が発生。ヴィンゲゴーも一時的に脚を止めざるを得なくなった。

夢へ！

ガル vs サイモンの戦いの結末はこの動画で。

25歳のガルがグランツール初勝利！AG2Rが今日の目標を見事に達成。ガルはAG2Rの期待と重圧を両肩にのせながらも最後まで逃げ切った。今年はツール前哨戦の1つのツール・ド・スイスでもステージ優勝をあげているが、やはりツール・ド・フランスでのそれは自転車選手の夢であり憧れであり特別なもの。その特別な夢を叶えた瞬間となった。

ポガチャルはこれからどうするのか？

今日まさにポガチャルはバッドデーに陥ったわけだが次の第18ステージは出走するのだろうか？それとも一晩あけてリタイアするのだろうか？

今日でヴィンゲゴーから7分も遅れたことでさすがにもは優勝の可能性は消えたと言える。だが表彰台2位は狙える位置にはつけているのでそのキープと、そしてチームメイトのアダム・イエーツの3位を狙う方向にいくわけだが、ポガチャルの肉体的ダメージが大きい、また精神的ダメージが大きいならばリタイアという判断がなされる可能性もあるだろう。

またツール後すぐに開催される世界選手権に出場するかどうかも気になるところ。ツールをリタイアして世界選に備えるべく回復に努めるというのもありえなくはない。

これまでポガチャルは第1週、そして第2週とツール前の準備不足を全く感じさせないような走りを見せていたわけだが、第16ステージの個人TTとそして今日の第17ステージの2日間でそれがついに表面化したように感じる。

もっと念入りにコースの下見をし、TTバイクの攻め方を考え、高地と暑さに対応するトレーニングに時間をさくことができていれば今日のバッドデーはなかったかもしれない。ヴィンゲゴーが強すぎる事実は揺るがないが、タイム差はもうちょっと少なくできたかもしれない。まぁタラレバ論でしかないが。だが今まで見たことのないポガチャルの姿にそんなことも考えてしまう。

レース全体のハイライト動画

結果

ステージトップ10

1	Felix Gall	AG2R Citroën Team	1位との差
2	Simon Yates	Team Jayco AlUla	0:34
3	Pello Bilbao	Bahrain – Victorious	1:38
4	Jonas Vingegaard	Jumbo-Visma	1:52
5	David Gaudu	Groupama – FDJ	2:09
6	Halland johannessen Tobias	Uno-X Pro Cycling Team	2:39
7	Chris Harper	Team Jayco AlUla	2:50
8	Rafał Majka	UAE Team Emirates	3:43
9	Adam Yates	UAE Team Emirates	,,
10	Wilco Kelderman	Jumbo-Visma	3:49

総合トップ10

1	Jonas Vingegaard	Jumbo-Visma	1位との差
2	Tadej Pogačar	UAE Team Emirates	7:35
3	Adam Yates	UAE Team Emirates	10:45
4	Carlos Rodríguez	INEOS Grenadiers	12:01
5	Simon Yates	Team Jayco AlUla	12:19
6	Pello Bilbao	Bahrain – Victorious	12:50
7	Jai Hindley	BORA – hansgrohe	13:50
8	Felix Gall	AG2R Citroën Team	16:11
9	Sepp Kuss	Jumbo-Visma	16:49
10	David Gaudu	Groupama – FDJ	17:57

各賞ジャージ

ジャージ	選手名	チーム名
マイヨ・ジョーヌ（総合首位）	ヨナス・ヴィンゲゴー（Jonas Vingegaard）	Jumbo-Visma
マイヨ・ヴェール（ポイント賞）	ヤスパー・フィリプセン（JasperPhilipsen）	Alpecin-Deceuninck
マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ（山岳賞）	ジュリオ・チッコーネ（Giulio Ciccone）	Lidl-Trek
マイヨ・ブラン（新人賞：25歳以下）	タデイ・ポガチャル（Tadej Pogačar）	UAE Team Emirates