UCIが警告「ワールドカップに出ないやつは世界選手権に出場させない」
Share your love
先ほどワウト・ファン・アールト(Wout van Aert)が現時点で明らかにした今冬のシクロクロスレースの数はたった5つと紹介した。
あくまでこれは現時点での予定でしかないが、このうちワウトがワールドカップシリーズに参戦するのは2023/12/23のアントウェルペン(アントワープ)でのワールドカップ戦「World Cup Antwerp」の1つだけ。
そしてワールドカップといえば、リドル・トレックで走るティボー・ネイス( Thibau Nys :元シクロ世界王者のスヴェン・ネイスの息子)が昨日の11月12日に開催されたワールドカップ・デンデルモンデ戦に欠場した。しかし彼は前日のスーパープリスティージュシリーズには出場していた。
UCIとしては主催ワールドカップシリーズこそ優先して出場してほしいもの。トップ選手がワールドカップを走ってこそその人気が高まる。ひいてはUCIのシクロクロス業界での権力も高まるというもの。
だがこのネイスのワールドカップ欠場はUCIを不快にさせた。世界選手権はUCIが主催するが、まるで「世界選手権には出るくせに、ワールドカップは都合のいいときだけ利用する」みたいな考え方のようにUCIは感じているのだろう。
UCI会長のダヴィ・ラパルティアン(David Lappartient)が、そんな都合のいいワールドカップシリーズの取捨選択について選手らに脅しをかけた。
情報源:UCI threatens Cyclocross World Championships ban for riders who skip World Cup races
昨日のワールドカップ戦欠場についてティボー・ネイスは「疲労が溜まっていたから」とその理由を述べたが、UCI会長のラパルティアンはその理由に疑念を抱き、「あれれ~おかしいぞ~?そんなに疲れてたなら、なんで土曜日のスーパープリスティージュに出場したの?」と。
会長ラパルティアンは続けて「ワールドカップは都合のいいときだけ出ればOKというレースではない。みんなちゃんと出場すべき」と述べ、「今後ワールドカップに出ないならば、世界選手権にも出るべきでない」と話す。
基本的にワールドカップのほうが賞金は高いこともあるようだが、ワールドカップを優先しない選手の意見としては、やはりワールドカップのシステム自体にも問題があるとも言える。選手側には、もっと多くのUCIポイントを獲得できたり、レーススケジュールをもっと密にすべきなどの考えもあるようだ。ようするにワールドカップに魅力が少ないのが欠点だと。
他にもヨーロッパがシクロクロスの本場であり、ヨーロッパの選手は地元レースを優先したい気持ちがある。地元のつながりは大事だからだ。またロードレースと比べると小規模なチームでの活動となるシクロクロスでは、アメリカなどでワールドカップが開催されると現地に移動するためのコストや手間が重い負担となる。アメリカでの1つか2つのレースのためだけにわざわざそうした面倒を抱えたくない。
そうした問題点はUCI側も理解しているようで今後なんらかの改善を図るとの考えだ。
一方で選手側には「選手は自分自身の判断で自由に出場するレースを選べる権利がある」との考えがある。このへんは欧米の人権意識とも関連するものだろう。
シクロクロスのこうしたUCIと選手側との対立は今後どのように調整・解消されるのだろうか。時間をかけた議論が両者の間で必要となるだろう。