ポガチャルとヴィンゲゴーの深夜ドーピング検査はフランス裁判所が許可。ITAの異例対応が波紋【2026ツール・ド・フランス】

2026ツール・ド・フランスでのポガチャルとヴィンゲゴーに対する深夜から未明のドーピング検査はパリの裁判所が関与していたことが判明

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2026ツール・ド・フランス第15ステージでヨナス・ヴィンゲゴーがレース中に落車し鎖骨骨折となり、大会から去ってしまった。

そのレビュー記事「ヴィンゲゴーが落車リタイア…….2026ツール・ド・フランス第15ステージはポガチャルとデル・トロによる攻撃を耐えたレムコ・エヴェネプールが勝利」において、🐷は次のように書いた。

レース前にヴィンゲゴーは前夜の深夜2時にドーピング検査官がやってきて、その後ニ度目をするハメになってしまったと述べていた(ポガチャルもおなじく朝5時にドーピング検査がやってきたようだ)のだが、ひょっとしたらそれがレース中の注意力になんらかの影響を及ぼしたのか?

(レース後のインタビューでポガチャルが同じようなこと言ってた)

ここでも書いたように、その第15ステージ前夜の深夜にヨナス・ヴィンゲゴーが、そして同未明にタデイ・ポガチャルの両名に対してドーピング検査が突然行われた。

このようなドーピング検査は数分で終わるようなものではなく、40分~1時間ぐらいはその場で必要となるようだ。つまり両選手はすっかり目が覚めてしまったことだろう。

そしてこのような両名に対するレース期間中の異例の夜間・未明でのドーピング検査は選手や関係者から批判の声が上がっていた。またそのような捜査はUCIのドーピング検査ルールに違反するのではという意見もあった。

深夜ドーピング検査について、フランスはパリの裁判所が事前に実施を許可していたことが明らかになった。

情報源(英ガーディアン紙):Vingegaard’s and Pogacar’s night-time doping tests authorised by Paris judge

裁判所がヴィンゲゴーやポガチャルへの深夜の抜き打ち検査を許可

上述のように、UCIがドーピング検査を委託している国際検査機関(ITA: International Testing Agency )は第15ステージ前夜から未明にかけてポガチャルとヴィンゲゴーに対し抜き打ちのドーピング検査を実施した。

ヴィンゲゴーは午前2時、ポガチャルは午前5時に起こされて検査を受けたとされる。

その後、パリ司法当局はこの夜間検査について、自由・拘禁判事(Judge of Liberties and Detention)が事前に許可を与えていたことを認めた。

フランスの法制度では、通常時間帯以外のドーピング検査には厳格な条件が求められる。そのため今回のケースでは裁判所の承認を経たうえで実施されたわけだ。

UCI規則との関係

ITAは今回の検査について、禁止薬物の中には短時間で体内から排出されるものが存在するため、効果的なアンチドーピング活動には通常時間外の検査が必要となる場合があると説明した。

同機関は、世界アンチ・ドーピング規程(WADAコード)、UCIアンチドーピング規則、そしてフランス国内法に従って実施しており、選手の権利や福祉にも配慮していると強調している。

この点UCI規則では午後11時から朝6時までの間にドーピング検査を行うためには、

“serious and specific suspicions that the rider may be involved in doping activities”

訳「重大かつ特定の嫌疑により選手がドーピングに関与している可能性」

が要件として必要とされている。

つまりITAやフランス司法局側はポガチャルとヴィンゲゴーにそのような嫌疑があったと主張するわけだが、具体的にどのような嫌疑があったのか、そのような情報はどこからもたらされ、どのように評価・判断されて今回の抜き打ち検査につながたのか、そういった詳細は全く公表されておらず不明である。

選手からは睡眠への影響を懸念する声

今回の検査後、ポガチャルは十分な睡眠が取れなかったことを明かし、「クリーンであることを証明するためなら受け入れる」と理解を示しつつも、タイミングについては疑問を呈した。

ヴィンゲゴーも睡眠を妨げられたことを認めており、レース関係者の間では、過酷なグランツール期間中に深夜検査を実施することが選手の回復や安全性へ与える影響を懸念する声が広がっている。

レムコ・エヴェネプールも夜間検査を「選手への敬意を欠く」と批判する。

元選手からは「不正抑止には効果的」との見方も

一方で、この対応を支持する意見もある。

EF Education-EasyPostのジェネラルマネージャーであり、かつてランス・アームストロングのドーピングスキャンダルでドーピング問題を告白したジョナサン・ヴォーターズ氏は、夜間検査はEPOなどのマイクロドーピングを防ぐ有効な手段であり、過去にも導入されていればロードレース界のドーピング問題は大きく変わっていた可能性があると述べている。

今後の深夜の抜き打ち検査はどのように実施されるべきか?

以上のように2026年ツール・ド・フランスで実施されたポガチャルとヴィンゲゴーへの深夜ドーピング検査は、パリの裁判所による正式な許可を受けて実施されていたことが判明した。

ITAは禁止薬物の検出精度を高めるためには限定的な状況で夜間検査が必要だと説明しているが、一方で、選手やチーム関係者からは睡眠やコンディションへの影響を懸念する声が相次いでいる。選手にとっては睡眠とは唯一の回復手段ともいえ、健康に直結する重要な時間である。

そうした睡眠の重要性と深夜の抜き打ちはUCIルール上あくまで例外的なものであることを考えれば、検査機関側と司法側には手続上の厳格さと判断の慎重さが求められるべきで、少なくとも検査後において、判断材料の取捨選択やその判断過程において、社会通念上著しく合理性を欠くことが明白ではないことを詳しく説明すべきではないか(もちろん捜査上秘匿すべき情報はあるだろうが)。そのように🐷は愚考する。

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