レムコの「新しい武器」とは?2026世界選個人TT優勝の秘密

レムコ・エヴェネプールが世界選手権個人TTでガンナに57秒差をつけた「新たな武器」とは?

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レムコ・エヴェネプールが、カナダのモンレアル(モントリオール)で開催された昨夜の2026年UCIロード世界選手権男子エリート個人タイムトライアルで優勝した。これで2023年大会から4年連続の世界王者となり、史上初の個人TT4連覇を達成した。

→レムコが歴史を塗り替える4連覇!2026UCI世界選手権個人タイムトライアルでレムコ・エヴェネプールが優勝

最終的に39.2kmのコースでエヴェネプールはフィリッポ・ガンナに57秒もの大差をつけたわけだが、勝敗を分けた要因は単純なパワーやSpecializedと共同開発した新型Shiv TTだけではない。レムコは世界選のために新しい武器を身に着けていたのだ。

今回のレムコの圧倒的な走りを支えた「新たな武器」とは?

情報源:’I’ve improved a lot in cornering on a TT bike’ – Remco Evenepoel unveils a new weapon in dominating World Championship performance

エヴェネプールがガンナに57秒差をつけて圧勝

エヴェネプールとガンナによる過去の世界選手権個人TTでの直接対決では2023年が12秒差、2024年が6秒差だった。ところが昨夜の2026年大会ではその差が一気に57秒まで拡大した。

今回のレース後にガンナは自身のキャリアで最高のパワー値を記録したと説明している。それでもエヴェネプールには届かなかった。

ガンナは市街地区間の路面状態にも言及。F1サーキットや自転車道を外れると、コースには穴やひび割れ、舗装の凹凸があり、世界選手権にふさわしい路面を用意してほしかったと愚痴をこぼした。

ただし、路面条件は全選手に共通する。

実は今回のタイム差を分析すると、エヴェネプールがガンナを上回った最大の要因はコーナーの多いテクニカル区間だったことが分かる。

最大のポイントはテクニカルなコーナー連続区間

さきほどの記事「驚異的なレムコの走行データ。世界選個人TTでの各計測ポイントでのタイムをガンナらと比較・分析」では大雑把に中間計測ポイントごとの分析を見たわけだが、今回の情報源記事ではもう少し詳しく、各区間ごとのコース形状に着目した分析がなされている。

スタートから10.7kmまでの第1区間には18のコーナーが設けられていた。エヴェネプールはこの区間だけで、ガンナから約23秒を奪った。

複数の180度ターンを含む次の区間でも、さらに約18秒を加算。21.9km地点までに、両者の差は約41秒に広がっていた。

一方、比較的テクニカル要素が少ない復路の17.3kmで広がった差は約17秒だった。

つまり、最終的なリードの半分以上が、前半のコーナーや折り返しを含む区間で生まれたことになる。

エヴェネプール自身もTTバイクだけでなく通常のロードバイクでもコーナリングが大きく向上したと語る。向上した技術に加えて自信を持ってコーナーへ進入できるようになったことも要因だと話す。

一方でコーナーを攻める走りには当然リスクもある。

実際に昨夜はスウェーデンのヤコブ・ソデルクヴィストは最終計測地点まで暫定3位につけていたものの終盤のコーナーで落車し表彰台を逃した。対照的にエヴェネプールは同じ難所を高速かつ安全に処理することに成功した。

ガンナの高出力 vs レムコの総合力

レムコ・エヴェネプールは、コーナーの多い今回のコースでは平均パワーや標準化パワーだけで実力差を判断することは難しいと語る。

たしかにガンナは平坦路で世界最高クラスの出力を誇り、上述のように昨夜のレースでは彼自身の最高のパワーデータを記録したと語っていた。

しかし、減速からの立ち上がり、180度ターン、荒れた路面でのライン選択といった要素が加われば、一定時間に記録したパワーだけではゴールで好タイムを記録することは難しくなる。

今回の結果は、現代の個人タイムトライアルで求められる能力が純粋な出力だけではないことを示している。

空力性能、ポジション、コーナリング、加減速、路面への対応、そしてリスクを取る自信まで含めた総合力でエヴェネプールがガンナを上回ったと言えるだろう。。

ガンナの敗因の1つは機材とポジションの調整不足

ガンナは今回の敗因として、機材とライディングポジションを挙げる。

彼が言うには、風洞トンネルで本格的なテストを実施したのは1月または2月が最後で、世界選手権前には施設の予約を確保できなかったという。そのため、既存の機材とポジションで大会に臨まざるを得ず、調整をしっかりと煮詰めることができなかった。

また世界選に臨むまでの準備期間・方法についても両者で異なっていた。

ガンナがアルガルヴェ、ティレーノ~アドリアティコ、春のクラシック、ジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランス、そして世界選前に今月はツアー・オブ・ブリテンにも出場。長期間にわたってレース状態を維持してきた。

一方でレムコはツール・ド・フランス前に69日間レースから離れ、トレーニングと機材開発に取り組み、ツールで総合2位という結果を残した。

そしてツール後は8月1日のクラシカ・サン・セバスティアンに出場し優勝。しかしそこからあとはカナダでのニ連戦(GPケベックとGPモンレアル)まで1ヶ月以上レースに出場していなかった。

こうした世界選前の調整の仕方が両者の明暗をわけた要因の1つだったのかもしれない。

アワーレコード挑戦は?

4連覇を達成したレムコは、さらに来年も5連覇を狙い世界選個人TTに出場する意向を明らかにした。

一方、ガンナが保持する56.792kmのアワーレコードについては、将来的に挑戦できる可能性はあると認めながらも、現時点では具体的な計画・予定を語らない。まずはグランツールや世界選手権ロードレースなど、ほかの目標を優先する考えで、現時点ではあくまでアワーレコードは将来的な可能性にすぎないという段階だ。

今回のモンレアルで見せた圧勝劇は、レムコが単なる高エアロ型・高出力型のTTスペシャリストではなく、コーナーリング技術と機材開発をも高いレベルで統合した選手へ進化したことを示すものだと言えるだろう。

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