激坂でワウト vs ワウト！2023ツール・ド・フランス第15ステージの感想・結果・ハイライト動画

昨夜の2023ツール・ド・フランス第15ステージはなんといってもゴール前に連続する2級と1級が勝負どころだった。どちらもかなり厳しい登りで、それらがステージ優勝の行方はもちろん、総合成績の行方をも左右することが予想された。

第15ステージのコース

第15ステージのコースプロフィールは次のとおり。

今日は超級山岳がないが山岳がつまっていて、最後は1級山岳の山頂フィニッシュ。しかも最後の1級山岳は次のように最大斜度17％の激坂区間が前半に登場する鬼畜さ。

明日は休息日で、その次は個人TT。ポガチャルもヴィンゲゴーもTTには強いため、TTではあまり差はつかないか？それを見越して、今日にタイム差を稼ぐ激走をこの1級山岳で見せるか？

感想・ハイライト

アラフィリップの逃げ！

今日もワウト・ファン・アールト（Wout van Aert）が逃げようとアタック。

ユンボは山岳ステージでは徹底的にワウトを先行させて前待ちさせる作戦なのか？いい加減UAEはそのワウトの動きを読めそうだが、ワウトをまずマークすることはしないのだろうか。

だがこのワウトの動きも封じ込められ、なかなか逃げが決まらない時間が続くも、その後にジュリアン・アラフィリップ（Julian Alaphilippe）とアレクセイ・ルツェンコ（Alexey Lutsenko）が抜け出すことに成功する。

そしてその二人を追う30人以上の大きな追走グループ。

山岳賞ジャージを狙うニールソン・ポーレス（Neilson Powless）とジュリオ・チッコーネ（Giulio Ciccone）が入っている。ヴィンゲゴーやポガチャルに山岳賞を取られないように、彼らがまだ動かない段階で登場する山岳ポイントを稼ぐ作戦だ。

残り130km：観客が原因の大落車！！

落車の直前の瞬間を拡大してみると・・・

🐷「おおおおおおいいいい！観客っ！」

前に出てきた観客の手がユンボ・ヴィズマのネイサン・ファン・フーイドンク（Nathan Van Hooydonck）に当たったのが原因だとわかる。これで、彼はもちろん、スーパー山岳アシストのセップ・クス（Sepp Kuss）も落車してしまう。

フーイドンクは特に痛そうでなかなかカムバックできなかったが、クスとともに骨折などの重傷はなかったようで無事にレースに復帰している。

熾烈な山岳賞争い！

これまでの山岳賞争いも激しい。ヴェンゲゴーやポガチャルにとってはオマケかもしれないが、ジュリオ・チッコーネとニールソン・ポーレスにとってはなんとしても取りたい栄光だ。

平均10.9%！2級山岳コート・デ・アメラン！

逃げていたアラフィリップとルツェンコは上の大きな追走に吸収されるが、やがてそこからワウト・プールス（Wout Poels）、ワウト・ファン・アールト（Wout van Aert）、そしてマルク・ソレル（Marc Soler）が先行することになる。

そして3人は、ゴールから2つ目の2級山岳コート・デ・アメランは距離2.7kmと短いが、平均斜度が10.9％というヤバい登りに到達するもその直後に、ソレルより少し先行していたWワウトの中からワウトがアタック！

この激坂の2級の後もやはり激坂区間がある1級山岳がすぐに連続して現れるのだが、そんな厳しい2つの登りをプールスは一定のペースで力強く登り続け、後続との差を少しずつ広げていく。

今日もUAEトレインがすごい！

ポガチャルとヴィンゲゴー（二人あわせてポガゴー）のいる集団もかなり遅れて2級に入るが、ここで今日もUAEトレインが爆発。それまで先頭を引いていたユンボから主導権を奪う。

UAEのマルク・ソレルはステージ優勝を狙う動きだったが、プールスには追いつけそうにないので、ポガチャルのために前で待つ作戦に変更か？

ここ最近のUAEのアシストの有能ぶりはすごい。いったい第1週目のあの体たらくは何だったんだ・・・

そしてUAEは最終アシストとしてアダム・イエーツ（Adam Yates）がポガチャルの前に出ると、セップ・クス（Sepp Kuss）が脱落。ヴィンゲゴーただ一人となる。

ここでポガチャルはアダムを先にいかせるが、ヴィンゲゴーはそれを追うことなくポガチャルをマーク。

アダムは総合タイムを大きく稼ぐチャンス。UAEが最終日に表彰台の2つの席を占有する可能性が高くなる。

ポガチャル vs ヴィンゲゴーの行方は？

結局ワウト・プールスはバテることなく最後までワウト・ファン・アールトとの差を広げながらゴール。悲願のツール・ド・フランス初優勝を成し遂げる。すでに35歳であり、引退を意識するであろうベテランがついに大きな栄誉をつかんだ。

そして最大の関心事である2強による総合争い。とにかく今年のポガチャルは最後の最後まで余計な攻撃をしないスマートな作戦。もちろん今日もラスト1kmから･･･

今日もいったああああああああああああ！今日はカメラモトが前にいない！

だが、そんなポガチャルの攻撃は当然ヴィンゲゴーにとってもシナリオ通り。そして今日のヴィンゲゴーも強かった。決してポガチャルに離されることなくきっちりと最後まで対処することに成功。ヴィンゲゴー以外ならチギられているだろう。さすがの実力だ。

今日もポガチャルはヴィンゲゴーからタイムを奪うことはできなかった。

レース後に、ポガチャルは「今日はヴィンゲゴーの調子がかなり良さそうだとわかってた。だからこっちもあんまりエネルギー使わないようにした」と語る。

ヴィンゲゴーもポガチャルもさすがに疲れてきているだろうが、二人ともコンディションは絶好調という感じだろうか。

ただ気になるのはユンボのチーム力だ。特に今日フーイドンクとセップ・クスが落車でダメージを受けた。加えてワウトはステージ優勝目指して疲労した。そして最後の登りの連続ではUAEの攻撃でヴィンゲゴー一人だけになってしまっていた。

ついにツールも最終週に突入していくが、ユンボは昨年と同じレベルのチーム力を発揮し続けることができるのだろうか。まぁ昨年はUAEがダメすぎただけで、そして今年のUAEが逆に戦略的にすばらしすぎて、相対的にユンボのチーム力の評価が下がってしまうだけなのかもしれないが。

レース全体のハイライト動画

結果

ステージトップ10

1	Wout Poels	Bahrain – Victorious	1位との差
2	Wout van Aert	Jumbo-Visma	2:08
3	Mathieu Burgaudeau	TotalEnergies	3:00
4	Lawson Craddock	Team Jayco AlUla	3:10
5	Mikel Landa	Bahrain – Victorious	3:14
6	Thibaut Pinot	Groupama – FDJ	,,
7	Guillaume Martin	Cofidis	3:32
8	Mattias Skjelmose	Lidl – Trek	3:43
9	Simon Guglielmi	Team Arkéa Samsic	3:59
10	Warren Barguil	Team Arkéa Samsic	4:20

総合トップ10

1	Jonas Vingegaard	Jumbo-Visma	1位との差
2	Tadej Pogačar	UAE Team Emirates	0:10
3	Carlos Rodríguez	INEOS Grenadiers	5:21
4	Adam Yates	UAE Team Emirates	5:40
5	Jai Hindley	BORA – hansgrohe	6:38
6	Sepp Kuss	Jumbo-Visma	9:16
7	Pello Bilbao	Bahrain – Victorious	10:11
8	Simon Yates	Team Jayco AlUla	10:48
9	David Gaudu	Groupama – FDJ	14:07
10	Guillaume Martin	Cofidis	14:18

各賞ジャージ

ジャージ	選手名	チーム名
マイヨ・ジョーヌ（総合首位）	ヨナス・ヴィンゲゴー（Jonas Vingegaard）	Jumbo-Visma
マイヨ・ヴェール（ポイント賞）	ヤスパー・フィリプセン（JasperPhilipsen）	Alpecin-Deceuninck
マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ（山岳賞）	ジュリオ・チッコーネ（Giulio Ciccone）	Lidl-Trek
マイヨ・ブラン（新人賞：25歳以下）	タデイ・ポガチャル（Tadej Pogačar）	UAE Team Emirates