アスタナ「カヴェンディッシュは首脳陣入りを希望したが・・・」
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先日の記事「2025アスタナの新チームバイクX-Lab AD9と新ジャージ。そしてカヴェンディッシュとの関係」にて、カヴェンディッシュはひとまずアスタナと離れ、アスタナとは関係のないフリーな立場で今後活動を続けていくと紹介した。
そしてカヴェンディッシュはもう来月に始まるツアー・ダウン・アンダーの広報大使に就任したことが発表された。
今回、こうしたアスタナとカヴェンディッシュの関係について少し詳しいことが大佐ことアレクサンドル・ヴィノクロフの口から明らかとなった。
今年のツール・ド・フランスで史上最多のステージ35勝を記録して最多勝単独首位を実現したマーク・カヴェンディッシュ。その歴史的偉業は未来永劫、彼の名前とともに所属チームのアスタナの名前も歴史に残ることとなる。これはアスタナにとっても大きな名誉であることは間違いない。
そのカヴェンディッシュとチームとの交渉について、ヴィノクロフは次のように語る。
“Mark didn’t want to just be an ambassador for the team, Mark wanted to be part of the decision making structure but that wasn’t possible yet. We still have a good relationship and we’ll see what happens later. Maybe in the future.”
訳「カヴェンディッシュは広報大使ではなくチームの方針に決定権を持つ仕事を希望していたんやけど、現時点ではそれは無理だったんよ。でも今でも彼とは良好な関係にあるし、今後カヴェンディッシュがそうなる可能性はあるよ。たぶん将来的にはね」
過去記事「カヴェンディッシュは今後マネージメント業へ?」でも書いたように、カヴェンディッシュは単なるチームのアイドル的仕事よりもチームの運営や契約に携わる仕事に興味をもっていたとされる。今回のヴィノクロフの発言はまさにそのことを示している。
このようにひとまずカヴェンディッシュのアスタナ首脳陣入りは実現しなかったわけだが、これにはおそらく新たにメインスポンサーとなった中国企業XDS社の考えも背景にあるのではないだろうか。ずっと財政基盤が脆弱だったアスタナがXDSによる巨額の投資でUAEやイネオスなどに並ぶ規模の予算を手に入れると考えらているわけで、XDSの意向がチーム戦略に強く反映されても不思議ではないからだ。
そしておそらくXDS社としてはまず最優先は2026年のワールドチームライセンスを確保することだと考え、そのために選手としてはレジェンドであってもチーム運営の素人であるカヴェンディッシュを入れる必要性もその余地もないと考えたのではないか。
さらにアスタナは今年の移籍市場における積極的補強で来年は13人の新しい選手と複数の新しいスタッフが加わり、イネオスとおなじくチームの体制が大きく変化する。2025年はそんなチーム改革とワールドチーム降格となるかどうかの瀬戸際の勝負の年であり、そんな状況下ではなかなか素人のカヴェンディッシュを加えるのは難しかったのだろう。
逆にいえば、チームがワールドチームとして安定した存在になればその時にカヴェンディッシュの首脳陣入りが実現するのかもしれない。その前にイネオスに取られなければ。