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ツール・ド・フランスを支える「第2のプロトン」 8人の選手のために動く約15台の車両と巨大なチームロジスティクス
世界最大の自転車ロードレース、ツール・ド・フランス。テレビ中継で主役となるのはもちろん選手たちだ。しかし、彼らが21日間にわたって最高レベルのパフォーマンスを発揮するためには、レース映像にはほとんど映らない巨大なサポート体制が必要になる。
2026年のツール・ド・フランスには23チーム、184人の選手が出場したわけだが、その裏側ではチームカー、トラック、バンなどからなる、いわば「第2のプロトン」がフランス国内を移動し続けていた。
今回の情報源記事を読むと、現代のツール・ド・フランスのロジスティクス(兵站)においてわずか8人の選手を走らせるためにプロチームがいかに巨大な移動組織を構築しているのかが見えてくる。
ツール・ド・フランスでは、各チームから出場する選手は8人。しかし、実際にフランスを移動しているのは彼らだけではない。メカニック、スポーツディレクター、医師、理学療法士、ソワニエ、シェフなど、多数のスタッフが選手を支えている。
そうしたチームの規模については、UAE Team Emirates-XRGとRed Bull-Bora-Hansgroheの2チームだけで、16人の選手を支えるために約100台のバイク、30台の車両、50人以上のスタッフがツール・ド・フランスで展開されていたらしい。これらがまとめてフランス全土を移動していたことになる。
UAEについていえば、TTバイクは選手一人につき2台、通常のロードバイクは一人につき平均4.25台ずつ用意されていたようだ。そしてエアロロードバイクY1Rsとより軽量なクライミングバイクのV5Rsの2つが用意され、選手の好みで選べるようになっていたようだ。
ホイールセットでいうと、UAEは50セット(Enve SES 6.7/4.5/3.4/2.3とTT用リアディスクホイール)、Red Bull-BORA-hansgroheは35セット(Roval Rapide CLX IIIs/Alpinist CLX IIIsとTT用リアディスクホイール)を用意していたもよう。両チームともスペアタイヤは50本とのこと。
チェーンの数でいうと、UAEは50個、Red Bull-BORA-hansgroheは100個と推定されている。
しかも、こうした第2のプロトンは単にスタート地点からフィニッシュ地点へ移動すればよいわけではない。毎日のステージ終了後には、翌日のレースに備えて新しい拠点を作り直さなければならない。
たとえばメカニックの仕事について言えば、彼らもステージが終わるたびに移動し、ホテルなどの駐車場に仮設のワークショップが作られ、そこが彼らの仕事場・戦場となる。
情報源記事によると、その設備は一流のバイクショップにも匹敵するほどだと表現している。
ツールでは機材トラブルが勝敗を左右しかねない。パンクや落車だけでなく、コンポーネント、ホイール、ブレーキなど、あらゆるトラブルを想定した準備が必要となる。
さらにツールは、自転車メーカーやパーツブランドにとって最大級のショーケースでもある。
最新世代のロードバイクや機材が投入されることも多く、チームのメカニックには、そうした最先端機材を毎日確実にレース可能な状態へ仕上げることが求められる。
また現代のロードレースで特に補給食の重要性が増しているわけだが、それを支えるのがチームの栄養管理だ。
3週間のグランツールでは、単純に大量のカロリーを摂取すればよいわけではない。連日のレースで消費したエネルギーを補給しながら、翌日のステージに向けて身体を整える必要がある。そのため食事も、パフォーマンスを左右する重要な要素となる。美味しい食事は心理面にも良い影響を及ぼす。
そして上で述べたようなホテルの駐車場に作られたメカニックの作業スペースの近くでは、チームのキッチントラックが置かれ、そこでは選手/スタッフのための食事が準備される。
チームにとってキッチンは単なる福利厚生ではなく、バイクやチームカーと同じく、レースを戦うための戦略の一部であり、インフラの一部になっているといえるだろう。
通常ツール・ド・フランスの歴史に記録されるのは選手の情報だけであるが、8人の選手を3週間走らせるためには、大量のバイクや車両、そして数十人規模のスタッフによるサポートが必要になる。
UAE Team Emirates-XRGとRed Bull-Bora-Hansgroheの2チームを合わせただけでも、約100台のバイク、30台の車両、50人以上のスタッフが16人の選手を支えているという数字は、その規模を端的に示している。
メカニックがバイクを整備し、シェフが食事を作り、医療・ケアスタッフが選手を回復させ、スポーツディレクターが翌日の戦術を組み立てる。そうした膨大な作業が毎日繰り返されることで、世界最高峰のロードレースは成立している。
ツール・ド・フランスは184人の選手だけによるレースではない。その背後を走り続ける巨大な「第2のプロトン」もまた、3週間の戦いを支える重要な存在であると言える。