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ついにINEOS Grenadiersがトタルエナジーズ社とスポンサー契約を結んだことが発表
今年の3月に記事「トタルエナジーズがINEOS Grenadiersのスポンサーに?」で、現在フランスのProTeamであるTotalEnergiesのメインスポンサーであるトタルエナジーズ社が、INEOS Grenadiersのスポンサーになるのではという情報を紹介した。
続いて先月5月には「INEOS GrenadiersとTotalEnergiesの合併合意が間近か。約10億円をトタルが出資か?」という記事で、両者の合意が間近に迫っているという情報を紹介した。
そして昨夜、INEOS Grenadiersから正式にトタルエナジーズ社とスポンサー契約を結んだことが発表された。
“We are proud to announce this extension of the close business relationship between INEOS Grenadiers and TotalEnergies into elite cycling – this is an important and significant milestone in the continued evolution of our team.”
— INEOS Grenadiers (@INEOSGrenadiers) June 26, 2025
🗣️ INEOS Grenadiers CEO John Allert… pic.twitter.com/UdQkxl06fs
INEOS社はイギリスの世界有数の化学企業、そしてトタルエナジーズ社はフランスの巨大石油企業で、業界でスーパーメジャーと呼ばれる6つの超巨大企業の1つである。つまり巨大企業同士が手を組んだ、企業規模だけでいえば超大型資本をバックにもつ(実際のチーム予算がどうなるかは不明だが)のチームが誕生したことになる。
今回のスポンサー契約により、まもなく始まる2025ツール・ド・フランスからINEOS Grenadiersのジャージにトタルエナジーズ社のロゴが描かれることとなる。
さて今回のスポンサー契約で問題となるのがまずPro TeamであるTotalEnergiesがどうなるのかだ。トタルエナジーズ社と同チームとのスポンサー契約は少なくとも2026年までは残っており、とりあえず同年いっぱいまではチームは存続することになっているようだ。
だが2027年から先についてどうなるかはツール・ド・フランス後に議論される予定らしい。
もう1つの問題点がUCIルールに違反するのではないのかという点だ。次のUCIルールを見て欲しい。
2.15.052 The members of a UCI WorldTeam may have no link with the members of another UCI WorldTeam, with a UCI ProTeam or with an organiser of a UCI WorldTour event likely to influence the sporting course of events or to be perceived as so doing.
訳「UCIワールドチームを構成するメンバー(選手に限らずスポンサーも含む)は、他のワールドチームもしくはProTeamのメンバーと関係し、またはワールドツアー主催者と関係し、レースに影響を与えたり、または影響を与えたとみなされるようなことは許されない」
このルールからすれば、2つのチームのスポンサーとなることは、一般的にはレースにそれら2チームの間に利益相反などが発生するおそれがあったりレース展開に悪影響を与えるとみなし得るので、たとえワールドチームとProTeamという異なるカテゴリー間であったとしても、原則許されないと言えるだろうか。
だがしかし、そのルールには例外も明記されている。それが次の部分だ。
In exceptional cases, which do not challenge the integrity of the competition or the sporting fairness, the UCI Management Committee may grant an exception.
訳「ただし例外的に、レースの高潔性やフェア精神に悪影響を与えないものならば、UCIのマネージメント委員会は許可を与えることができる」
そもそも昔からシマノは圧倒的に多くのチームに機材スポンサーとしてコンポを提供しているし、もちろんSRAMやCampagnoloも複数チームに機材を提供してきている。またバイクメーカーならばSpecializedやCanyonといったところも複数のチームにバイクを供給している。
またレース主催者との関係でいえば、今年のツール・ド・フランスの公式スポンサーの1つがトタルエナジーズ社だ(参照:TotalEnergies becomes Official Partner of the Tour de France and specifies its cycling partnerships)。また今年のジロ・デ・イタリアではTudorがスポンサーだった。
各チームのスポンサーとロードレース界の様々な場所での関係性を完全に断ち切るのは当然不可能なことであり、そんなことをすればロードレース界そのものが存続不可能となるのは確実。
こうした現状と今回のトタルエナジーズとINEOS Grenadiersとの件もあわせて考えると、これまでもUCIは上記ルールを柔軟に運用しているのではないかと考えられる。
だが同時にトタルエナジーズ社の公式ページでは今回の契約について次のような記載がある。
TotalEnergies confirms that its agreements with these two cycling teams are strictly commercial and exclude any influence and/or interference in sporting matters and race strategies. The Company is implementing internal rules to ensure this separation and the full independence of both teams. A principle the UCI will monitor in accordance with its regulation.
引用元:TotalEnergies becomes Official Partner of the Tour de France and specifies its cycling partnerships
訳「トタルエナジーズ社としては、2つのプロチームとのスポンサー契約はあくまで完全に営利目的のものであって、決してレースのやり方や戦略などに影響力を行使したり、介入したりするものではないと宣言する。弊社は内部規程を導入し、それによって分離・独立を両チームに保証することとする。UCIによる監視もなされる」