Enter your email address below and subscribe to our newsletter

ツール・ド・フランスで極右支持が減少?

ツール・ド・フランス招致が極右勢力への支持を減少させる可能性がある?

Share your love

現在ドイツをはじめとしてこれまで移民受け入れに寛容だったヨーロッパの国々でさえ、もともとの住民・市民の雇用減少や治安悪化などを理由に反移民を掲げる右派勢力が拡大しつつある報道されている。

一方イギリスはイギリスでもう1つの経済的問題で大きく国論が別れた。それはEU脱退のブレグジット問題だ。結局2016年の国民投票でEUから離脱することになり、2020年に正式離脱。だがその離脱の悪影響が今でも英国経済にのしかかっているとされる。

そんなイギリスの右派政党がリフォームUK党。ブレグジットを主導したイギリス独立党(UKIP)の元党首ナイジェル・ファラージによって結党された。そんなナイジェルが無視できない調査が発表された。

それはツール・ド・フランスの招致が極右勢力への支持を減らすかもしれないというものだ。

情報源:The Tour de France helps reduce support for far-right political parties, new research finds

論文:Cycling through Elections: The Political Consequences of the Tour de France

イギリスは2027年のツール・ド・フランスの招致を狙っているわけだが、この論文さ示唆する内容どおりになれば、ツール・ド・フランス招致によって右派勢力の得票数が減るかもしれない。右派の政治勢力にとっては看過できないものになるだろう。

この論文では2025年9月に発表されたもので、デンマークがグランデパールとなった2022年のツール・ド・フランスについて次のようなグラフが掲載されている。

X軸がツール・ド・フランスのレースのホストシティになった回数、Y軸が極右勢力への得票率。右下がりのグラフとなっており、これはグラフの外観上はツールを招致した回数が多いほど極右勢力の得票率が減っていることを意味する。ただ両者の間にどこまでの因果関係があるのか、実際に回数が影響を与えているのかは不明だ。見た目上は関係があるように見えるというだけのことだ。

アメリカ政治を見るとわかりやすいが、トランプ大統領は「忘れられた人々」に対する強い訴えで支持を伸ばし今の権力基盤を作り上げた。

その忘れられた人々とは産業の空洞化と雇用の減少、さらに人口減少などが進む地域にくらす人々で、国から手厚いサポートを受けられていない地域の住民と言える。「社会から見捨てられたと感じる」人々と言えるかもしれない。

だが今回の論文の内容からすると、ツール・ド・フランスはそうした忘れられた人々が失った国や社会というコミュニティへの帰属意識のようなものを再び取り戻させる効果があるのかもしれない。

仮にこうした効果が本当にあるのだとすれば政治家にとっては武器にもなるし弱点にもなる。

経済効果として成功をアピールするという意味ではこれまでも政治目的に利用されてきたという面は完全には否定できないろうが、誘致した結果自身の政党の得票率が下がれば諸刃の剣である。

今年のブエルタ・ア・エスパーニャでは親パレスチナデモの大規模な騒乱によって混乱が生じたわけで政治とロードレース(スポーツ)というものが大きな社会的議論の種となった。

今回の論文が今後注目されるようになれば、そうした政治とロードレースというものが今よりも大きな議論となるかもしれない。


Share your love
piginwired
piginwired
Articles: 8090

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.

Stay informed and not overwhelmed, subscribe now!