UCIが2020年からワールドツアーチーム数を20へ!変更の理由とは?
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大きなニュースが飛び込んできた。2020年からUCIがワールドツアーチームの数を現行の18チームから20チームへ引き上げること、そしてすでに23チームが、その資格を得るための申請をしようと考えていると判明。
情報源1:23 teams confirm interest for 2020 men’s WorldTour places
情報源2:Exclusive: Risk of legal challenge leads UCI to expand WorldTour to 20 teams
(1) UCIの新ルールについてのおさらい
Taking a look back at some of our champions 🥇 from the 2019 @UCI_paracycling Track World Champs just a few weeks ago! 🌈 👏#WorldChampWednesday #Apeldoorn2019 pic.twitter.com/cT8UPO3xbq
— UCI (@UCI_cycling) 2019年3月28日
これまで、UCIによる改革の一環としてのルール変更についていくつか記事を書いてきた。たとえば、以下のもの。
その他UCI関連の過去記事はこちら→タグ:UCI
過去記事でも何度か書いたけど、前から決まってたこととして3年ごとにワールドツアーチームは入れ替えというか、選抜が行われるようになった。
そして、その際に考慮される要素と過程は次のようになる。
まず、各チームから10人の選手を選ぶ。このとき、個々の選手がもつUCIポイントの高い順に応じて選ぶ。わかりやすくいえば、成績TOP10の選手を10人選ぶわけやね。そして、それら10人の点数を合計する。
次に、その合計点に応じてチーム間の順位をおおざっぱに決定。
そして、最後にチームごとの財政面、倫理面、運営面・人事管理の面、そして法律順守の面などのいろんな要素を審査。
最終的にこれら様々な要素を総合的に較量して、チームごとのランキングが決定されるわけ。
ここまでは、すでに前から決定してたこと。3年ごとにワールドツアーチームを入れ替えること自体は決まってた。
で、今回新しく決定した変更の重要な点はチーム数という点。表題通り、現行の18→20へと増えることになった。これが今回急遽(?)変更された新しい点。ただし、おそらく2020、2021、2022の3年間だけのいわば一時的な措置となる予定。
すなわち、もともとUCIはワールドツアーチーム数を増やす予定はなかったわけ。しかし、今回その姿勢を変えて、とりあえず増やすことにした。とりあえずね。
この「一時的な措置」という点については、以下(3)でその裏事情を書くで。
(2) 申請を予定しているチームは?
The third round of the 2019 @UCI_WWT takes place on Sunday with the @TrofeoBinda 🇮🇹
— UCI (@UCI_cycling) 2019年3月22日
Read our latest article to find out more about the origins of the race! 👇
🔗 https://t.co/j1B7i9zd7B#UCIWWT pic.twitter.com/OmDGEWYPsX
今回変更された2020年からのワールドツアー資格に応募しようと考えているチームは、以下の23チーム。上述のように20チームしかワールドツアーの資格を得られないから、3チームが零れ落ちることになる。
- AG2R La Mondiale
- Arkea-Samsic(現プロコンチネンタルチーム)
- Astana Pro Team
- B&B Hotels Vital Concept
(現プロコンチネンタルチーム) - Bahrain Merida
- Bora-hansgrohe
- CCC Team
- Cofidis
(現プロコンチネンタルチーム) - Deceuninck-QuickStep
- Direct Energie
(現プロコンチネンタルチーム) - EF Education First
- Groupama-FDJ
- Israel Cycling Academy
(現プロコンチネンタルチーム) - Lotto Soudal
- Movistar Team
- Mitchelton-Scott
- Team Jumbo-Visma
- Team Katusha-Alpecin
- Team Ineos (Team Sky)
- Team Sunweb
- Dimension Data
- Trek-Segafredo
- UAE Team Emirates
ま、いつもの面々やね。つまり現行の全ワールドツアーチームと、現行プロコンチネンタルチームのうちの5チーム。これら23チームが、新ルールに基づく20個のワールドツアー資格を争うことになる。3チームが落選する。
(3) なぜUCIはルールを変更したのか?
“The distance, the cobbles and the climbs make it a really hard race.”
— UCI (@UCI_cycling) 2019年3月17日
See what @AvVleuten 🇳🇱 has to say ahead of the @RondevDrenthe taking palce today which is part of the @UCI_WWT 🌎
🔗 https://t.co/fqcZ75Rz9x#UCIWWT pic.twitter.com/dn0CIJ8iGH
それにしてもなぜ去年の年末でもなく、新年早々でもなく、北のクラシック本番が目前に迫っているこの時期に突然こんな変更がアナウンスされる事態になったのか?
それは、プロチームの利害関係者の中に、UCIに対して法廷闘争を仕掛けようと思ってる勢力がいることが理由。情報源2ではそのように書かれている。その利害関係者は匿名ということになってる。
その勢力は一体何を主張してるのかといえば、まぁ簡単にいうと、「UCIに騙されたわ。そんなん聞いてへんわ」みたいなもの。
どういうことかといえば、実はプロチームには新しいランキング制度の詳細が知らされてなかったようなんよ。2017年と2018年の2年間、各プロチームは新ランキングの詳細について、特に選手が得るポイントの重要性などを知らないまま活動してたわけ。
上(1)で書いたように、2020年からワールドツアー資格を得るためには、各チームのポイント上位10人の合計ポイント数が重要になる。でも、2017・2018とそんなこと知らないまま走ってたわけ。その2年間の成績も重要な考慮要素の1つになるのに。
そのせいで、もしワールドツアー資格を得られずプロコンチネンタルチームに降格となったら、チームにとってもそして何よりスポンサー様にとっても最も重要なイベント、ツール・ド・フランスに参戦できなくなる可能性が高くなる。
ようするに、「そんな重要なことを黙ったまま、なんてことしてくたんや!こんなん詐欺やんけ!」という感じ。説明責任を果たしてないみたいやつ。不意打ちというか。まぁそんな感じ。
それで一部の利害関係者がUCIを訴えようとしてたわけ。
そこで、UCIとしてはもともとワールドツアーチーム数を増やす予定はなかったんやけど、その法廷闘争を回避するために、多数の利害関係者と接触し協議。
そして妥協として、一時的に次の3年間だけはワールドツアーチーム数を現行18から20へ、2つだけ増やすことにしたわけ。これで、チーム間の競争を煽るという目的もそれなりに達成され、プロコンへの降格によるスポンサー撤退&チーム消滅もそれなりに防げる。
以上より、今回の変更はいわば妥協の産物といえる。
さて、とりあえず現プロコンのうちどれがワールドツアーへ昇格となるか、現ワールドツアーチームのどれがプロコンへ降格となるか、今後いろいろありそうやね。
その他UCI関連の過去記事はこちら→タグ:UCI