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今年のブエルタ・ア・エスパーニャを総合優勝したベルギーの国宝レムコ・エヴェネプール(Remco Evenepoel)。続いて世界選手権をも制し世界王者にも輝いた。
そんなレムコをブエルタで支え続けたクイックステップは、最後の山岳ステージを前にしてチーム全体に経験したことのない極限の重圧がのしかかかり、とてもナーバスな状態に陥っていた。そして、そんな中でも最もプレッシャーがかかるのはもちろんエースのレムコ。
最終山岳ステージを前にしたブエルタでのそんなレムコの様子をチームメイトたちが振り返る。
これまでクイックステップはグランツール総合優勝をガチで狙いに来たことはない。ジュリアン・アラフィリップ(Julian Alaphilippe)がツールでマイヨジョーヌを着続けたこともあったが、そのときはレースの展開上たまたまそうなっただけで、大会前から本気で狙っていたわけではない。
そんなブエルタの重圧により、チームバスの中は最終山岳ステージを前にみんな無口になり、誰もがナーバスになっていった。選手・スタッフ全員が大きなストレスを感じていた。イラン・ファン・ワイルダー(Ilan Van Wilder )はそう語る。
そして無事にその日を終え、実質的にブエルタ優勝が決まったときは大きなブロックの塊が肩から落ちたように感じたとのこと。
ただチーム全体がそんな極度のストレスにさらされている中、レムコだけはちょっと違ったらしい。ファン・ワイルダー曰く、「レムコはプレッシャーを感じていないようだった。普段と同じ様子で、いつもどおり大音量で音楽を聞いていた」。
おなじくチームメイトのルイス・フェルバーク(Louis Vervaeke)は、「その日はいつもよりレムコは静かだったけど、エースとして彼は重圧を上手く処理し、それを表すことはなかった」と語る。
同時に、レムコが極度のプレッシャーと実に上手くつきあっていたことは、アルペシン・フェニックス時代にチームメイトだったあのマチュー・ファン・デル・プール(Mathieu van der Poel)と似ていると話す。
やはり超一流の選手はプレッシャーとどのように向かい合い、それを処理するのか、その方法論を身に着けているのだろう。