激闘と史上初の偉業!パリ五輪男子ロードレースの結果、ハイライト、レビュー
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ロードレースは1896年に開催された最初のオリンピックである第1回アテネ五輪からずっと続く最古参の伝統競技の1つ。パリ五輪男子ロードレースは獲得標高はそれほどでもないが、五輪史上最長レベルの長距離レースで、しかも普通のロードレースとは異なりチーム無線が使えないルール。
前回の東京五輪ロードレースでは特に女子レースで無線がないということが結果に大きな影響を及ぼしたのを覚えているだろう。その東京五輪女子ロードレースの過去記事がこちら。
そんなパリ五輪はとんでもない結果となった。
目次
前回の東京五輪ロードレースの思い出
パリ五輪のコース
次のように走行距離は約273km、獲得標高2800m。細かいアップダウンが連続するアルデンヌ・クラシックっぽいコースとなっている。そして終盤の周回コースでは距離1.1km、平均斜度6.5%の石畳の登りも登場する。
出場選手一覧
各国のスタートリストはこちらの記事を見てほしい。
レビューやハイライト
スタートにピーター・サガン登場!
スタート前、競技開始の儀式(棒で大地を数回叩く)に登場したのがペテル・サガン😳😆
— ルッカ Yoco (@Lucca196) August 3, 2024
この儀式はすべての競技の前に行われていて、男子個人TTではカンチェラーラでした pic.twitter.com/YC0FSbtLCA
スタート直後に逃げ容認
スタート直後から数名の逃げを容認したプロトン。先は長いため14分以上の差を容認しながらレースはとてもリラックしたのんびりとしたペースで進んだ。途中で多くの選手が脚を止めながら惰性で動いてるだけのシーンも多く見られた。
しかしレースがちょうど中盤にさしかかってくるとプロトンはペースアップ。先行する逃げとその追走グループの2つとの差をどんどん詰め始める。
チーム無線が使えないため、残り距離が少なくなった時点でタイム差の計算を間違うと取り返しのつかないことになるからだろう。中盤である程度の安全圏にまでタイム差を収めようとしたのだろうと思う。
残り70km
残り70kmあたりになると、一人で逃げていたアイルランドのライアン・ミューレンに、後方のプロトンから飛び出した同じアイルランドのベン・ヒーリーとカザフスタンのアレクセイ・ルツェンコが合流し3人となる。アイルランドは見事に合体に成功したわけだが、やがてヒーリーを牽引したミューレンも遅れて、逃げはヒーリーとルツェンコの二人だけとなる。これがアイルランドの作戦だったのだろうか。
プロトンは彼らの後方10秒に迫っていたが、同時にプロトンの動きも活発かつ無秩序・散漫となり、先頭2名との差が30秒前後まで開く。
そしてこのあたりになるとレムコ・エヴェネプールが積極的にメインプロトンの先頭に出ようとする動きを見せ始める。
残り50km
パリ市内の周回コースに入ると先頭のヒーリーとルツェンコを追うグループが形成される。そのメンバーは、
- ヴァランタン・マデュアス(フランス)
- シュテファン・キュング(スイス)
- マルコ・ハラー(オーストリア)
- フレッド・ライト(イギリス)
- ニルス・ポリッツ(ドイツ)
- マイケル・ウッズ(カナダ)
- ジャンバルジャムツ・セインベヤール(モンゴル)
というメンツ。この終盤の動きにモンゴルが入ったのがおもしろい。勝負勘の鋭さを感じる。人数が揃っているだけに協調しあえばメインプロトンからも逃げ切れる可能性が?
しかしその後方では・・・
🐷「マチューいったあああああああああああああああああ!!」
勝負どころの石畳の登りをマチューが異次元の速さで飛んでいくが、それにしっかりとワウト・ファン・アールトもついていく。
登りを終えてこの二人に合流したのが、
- ジュリアン・アラフィリップ(フランス)
- マッテオ・ヨルゲンソン(アメリカ)
- トムス・スクインシュ(ラトビア)
しかしこのマチューらはまたプロトンに吸収されてしまい、動きとしては不発に終わる。
一方でそのマチューのあとに動いていたのがレムコ・エヴェネプール。逃げるヒーリーを追うキュングらの追走グループに合流し、レムコが強力な牽引をスタート。後続を引き離し、独走に持ち込もうと言うのか!?
レムコは爆走を続け先頭のベン・ヒーリーを捉え、ついにフランスのヴァランタン・マデュアスと二人で先頭に躍り出て、逃げ切り態勢へ!レムコが個人TTでの金メダルに続きニ冠達成か!?
ヴァランタン・マデュアスはレムコよりもこうしたコースではパワーに劣るため不利。そこで、同じフランスチームのチームメイトを待つのも手だが、そのためにはレムコにツキイチという不名誉な状態にならざるを得ない。だがレムコの脚は削れる。
どちらにしろマデュアスにとってはレムコの後ろで我慢するしかない。それが唯一の勝ち筋となるだろう。
残り15km!レムコおおおおおおおおおお!
🐷「レムコいったああああああああああああ!!」
🐷「さすがにマデュアスではレムコの相手に荷が重かった・・・」
順調に独走でゴールに近づくレムコだが、そんな彼をまさかの事態が襲う。
ゴールまで残り4kmでまさかのメカトラ!大声でバイク交換!だがヴァランタン・マデュアスとの差は1分以上。急いで乗りはじめたが、交換後のバイクにはサイコンがついていないとアピール。しかしもうゴールは目前。サイコンなし、問題なし!
この狙いすました完璧なアングル。さすがフランス。さすがツール・ド・フランスの国。国としてどういう映像がベストなのかよくわかっている。これが自転車の国だ。
そしてレムコに続いて、フランスのマデュアスとラポルトが2位と3位を獲得。特に銀メダルとなったマデュアスはレムコに敗れたもののその栄光にガッツポーツを作っていた。やれることは全てやった上での銀メダルということで今日の彼にとって最上の結果だったのだろう。
フランスチームの誤算はツール・ド・フランスを総合3位で終えたばかりのレムコが強すぎたこと。
🐷「ていうか、このレムコに勝つにはタデイ・ポガチャルとヨナス・ヴィンゲゴーを連れてくるしかなくない?」
ベルギーチームは最大の脅威だったマチュー・ファン・デル・プールをワウト・ファン・アールトに徹底的にマークさせ、その隙にレムコ・エヴェネプールを独走させるという作戦だったのかもしれない。それが上手くハマった?
まぁいつぞやの世界選手権みたいにレムコが暴走した可能性もないとはいえないが・・・ツール・ド・フランスでもかなり成熟した大人の行動を見せていたレムコだけに、今回はチームの作戦に従ったはず・・・
そのレムコ暴走の2021年世界選手権についてはこれらの過去記事を。
- 東京五輪の殴り合い再び!?2021世界選ロードレースの結果と感想
- 【2021世界選】レムコ・エヴェネプールはチームミーティングを欠席していた
- フランスのヴォクレール監督が語ったフランスチームの作戦。アラフィリップのアタックは台本にはなかった。2021世界選手権ロードレース
- 世界選レース後のファン・アールトのコメント。2021世界選手権ロードレース
そして優勝候補筆頭とも言われていたマチュー・ファン・デル・プール擁するオランダ勢だが一体何が悪かったのだろう。やはりワウト・ファン・アールトのマークが効いていたのだろうか。逆にワウトを意識しすぎたか。チーム無線の有無も影響があったのかもしれない。状況を正確に捉えられていなかったか?
五輪男子ロードレースで史上初の快挙
レムコ・エヴェネプールは個人タイムトライアルとロードレースの両方で金メダル獲得となったわけだが、個人タイムトライアルは1996年大会から採用されたこともあり、レムコは男子では史上初のオリンピックでのTTとロードレースの同時二冠という偉業を達成したことになる。
女子でレオンティエン・ファンモールセルが2000年にシドニーで達成しています。
— Akihiro Takaoka (@RX_Takaoka) August 3, 2024
ちなみに女子だと、レオンティエン・ファンモールセルがシドニー五輪で達成していたとのこと。
ゴール後に「恋のマイヤヒ/のまのまイェイ」
なんか今、ロードレース会場で「のまのまイェイ」流れてなかった?
— バイクニュースマグ@ワイアードの豚 (@BikeNewsMag) August 3, 2024
ハイライト動画
のちほど。
結果(トップ10と新城幸也)
順位 | 選手名 | 国 |
---|---|---|
1 | レムコ・エヴェネプール(Remco Evenepoel) | ベルギー |
2 | ヴァランタン・マデュアス(Valentin Madouas) | フランス |
3 | クリストフ・ラポルト(Christophe Laporte) | フランス |
4 | アッティラ・ヴァルテル(Attila Valter) | ハンガリー |
5 | トムス・スクインシュ(Toms Skujiņš) | ラトビア |
6 | マルコ・ハラー(Marco Haller) | オーストリア |
7 | シュテファン・キュング(Stefan Küng) | スイス |
8 | ヤン・トラトニク(Jan Tratnik) | スロベニア |
9 | マッテオ・ヨルゲンソン(Matteo Jorgenson) | アメリカ |
10 | ベン・ヒーリー(Ben Healy) | アイルランド |
なお、日本の新城幸也は最後のオリンピックをレムコから8分57秒の56位で見事に完走してゴール。
レームーコ!レームーコ!
マチューの動きをワウトが徹底マークして、2人が吸収された直後に狙い澄ましたタイミングでレムコが仕掛ける……!
やはり、単独エースとダブルエースの差が出たレースになりましたか…(キュング等が抜け出して1分差付けた時は冷や汗ものだったと思いますが)。
チーム無線がない中でベルギーは上手く動いたブヒね。まぁそのぶん前半はプロトンを引かずにサボってて、オランダにキレられてたわけだけど。
キュングたちも人数はいただけに協調するなり、レムコが合流する前になんらかの動きがあれば・・・と惜しく思うブヒね。
レムコに合流された時点で彼らの命運は終わったブヒね。
マチューは珍しくレース勘がなかったですね。ワウトの付き位置も効いたか。
レムコの電話をかける謎パフォーマンスも良かったですw。
マチューは1回目のモンマントルでアタックかけたときにそのままワウトを引き連れてでもキュングたちに合流していれば・・・と思うブヒね。
まぁそうなるとレムコとワウトのいるベルギーが数的優位に立つわけだけど、そこはもう仕方ないブヒね。
いやぁー、中盤以降の攻防は面白かったですねぇ。それに実況・解説のない現地音声だけ、という中継も、いろいろ自分で考えなきゃならず、それもまた良かったのでは。
マデュアスをちぎっての残り13kmあたりからは「こりゃ逃げ切ったな、トラブルさえ無ければ」と画面に向かってつぶやいていたら… OMG!まさかのパンク?
見ているこっちの方がハラハラしましたが、そんなトラブルをものともせずの見事な勝利でした!
NHKのほうはいつものユーロスポーツの実況・解説だったのかな?ブタはTverで見てたブヒ。
結局ベルギーはさすがの上手さだったブヒね。前半はプロトン牽引にできるかぎり参加せず省エネですましたのも影響したかも。
レムコのパンクはブタも一瞬「うぉおい!」と叫んでしまったブヒね。タイム差1分以上あったといえあれは焦る。
スゥイートキャロラインだったような
パリ五輪は懐メロがいろいろかかりまくってたようブヒね。
東京五輪はどんな曲かかってたんだろ?