カヴェンディッシュがパトリック・ルフェーブルを痛烈批判。2021〜2022の契約についてその裏側が明らかに

マーク・カヴェンディッシュは、ロードレース史上最高のスプリンターとして圧倒的な勝利数を誇るレジェンドの一人である。

2021年ツール・ド・フランスではSoudalｰQuickStepでエディ・メルクスのツールのステージ優勝最多勝記録34勝に並ぶ偉業を達成。そして2024年ツール・ド・フランスでは見事にその記録を塗り替え前人未到の35勝利を達成。まさに歴史に残る一人となった。

そんな彼は最新の自著「Believe: Achieving the Impossible」で2021〜2022年のDeceuninck – Quick Stepとの契約に関して、同チームのボスだったパトリック・ルフェーブルを舌鋒鋭く批判する。

マーク・カヴェンディッシュの危機を救ったパトリック・ルフェーブル

だがそんな彼もキャリア中にはキスの病（エプスタイン-バールウイルス）に長期間悩まされてまともにレースができない日々が続いた。

そしてその時点での年齢のこともあり、2020年にはそんな彼と契約しようというワールドチームはなく、いよいよカヴェンディッシュも引退か？という瀬戸際に立たされていた。

だがそんな彼に救いの手を差し伸べたのが当時Deceuninck – Quick Step（現SoudalｰQuickStep）のボスだったパトリック・ルフェーブルだ。その契約は2021年限りの1年契約だったが、このときの同チームとの契約には特殊な背景があった。

それは当時の記事「カヴェンディッシュ移籍の舞台裏。本人がスポンサーを連れてきた」でも紹介したが、基本的にチーム側はカヴェンディッシュの年俸を負担せず、バイクスポンサーのSpecializedが負担するというものだったと言われている。

だからこそ万年金欠チームだった（しかもルフェーブルはドケチとして有名だった）Deceuninck – Quick Stepはカヴェンディッシュと契約した。

2021年の年俸については上述のようにSpecializedが負担したとされるが、その後カヴェンディッシュの2021ツール・ド・フランスでの活躍を受けて契約延長の合意がなされ、2022年もカヴェンディッシュは残留することとなった。

そして今回カヴェンディッシュが主張するには、そのとき彼とルフェーブルの間ではもともと2022年の年俸は50万ユーロ（この記事の時点の為替で約8900万円）という約束を交わしていたらしい。

カヴェンディッシュの知名度とメディアへの露出の貢献度、さらには2021年ツール・ド・フランスで4勝をその最多勝記録に並ぶという大復活劇の話題性などからすれば安すぎる金額かもしれない。

だがカヴェンディッシュが言うには、その50万ユーロの約束について後日ルフェーブルとの会談では、ルフェーブルはまるで「その約束についてド忘れした。そんなこと言ったかいのぉ？」みたいな態度だったらしく、あげくに「すまんのぉ、今手元には25万ユーロしかいないわ」と。

このことについてカヴェンディッシュは次のように語る。

“He was just screwing me, that’s how it felt,”

訳「ルフェーブルは俺をなめくさっとる。マジでそう感じた」

ただ最終的にカヴェンディッシュは当初の約束どおりに50万ユーロを出させたようだ。

ただその2022年にはカヴェンディッシュはツール・ド・フランスのメンバーには選ばれなかった。そして2023年にAstana Qazaqstan（現XDS Astana）に移籍し、2024年のツール・ド・フランスで史上初の35勝目を達成し、歴史に偉大な足跡を残すことに成功する。