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UCIがロードレース人気拡大のための新戦略を発表
情報源:UCI launches new strategy to further internationalise pro cycling
UCI(国際自転車競技連合)がロードレースのさらなる国際化を目指す新たな戦略「Global 2028」を打ち出した。
これは、これまで欧州中心だったロードレース界を、より広範な地域へと拡大するための中長期的プロジェクトである。
特に焦点となるのは、アフリカ、アジア、中南米といったロードレース新興国での選手育成だ。UCIはこうした地域の競技レベルの底上げとスター選手の創出を狙う。
この戦略の中心となるのが、スイスのエーグルに拠点を置くUCIワールドサイクリングセンター(WCC: UCI’s World Cycling Centre)である。2002年の設立以来、各国の若手選手育成を担ってきたが、今回のプロジェクトではその役割がさらに拡大する。
新プログラムでは、選抜された計12名の選手がフランスのブルターニュ地方でのトレーニングキャンプに参加し、トップレベルの環境でトレーニングを行いながら、実戦レースにも出場する仕組みとなっている。
本場ヨーロッパでのレース経験がない上述の新興国出身の選手たちでも、本場のレースで経験を積むことができるわけだ。
この育成プログラムは単なる短期合宿ではない。2028年まで続く長期プロジェクトとして設計されており、最終的にはアブダビで開催予定の世界選手権をゴールに据えている。
ここでのUCIの狙いは明確である。つまり、若手選手の発掘、育成、そして欧州チームへのステップアップ、というキャリアパスを確立することで、継続的に新興国出身のプロ選手を輩出することだ。
この構造が確立されれば、プロロードレースの人材供給構造そのものが変化する可能性がある。
今回の「Global 2028」は、過去に実施された「Africa 2025」プロジェクトの延長線上にある。今回の新戦略は、その成功モデルを世界規模に拡張したものと位置づけられる。
そのAfrica 2025ではアフリカ初の世界選手権(キガリ)を見据え、若手選手の強化が行われた。そしてそれは一定の成果を得たものの、同時に困難な問題をも浮き彫りにした。
その問題点とは、親元から遠く離れた地で何週間も過ごさなければならないため、不屈の精神力、カルチャーショックを受けても適応できるだけの精神構造などが要求される点だ。
どんなスポーツでも、やはり「非本場」出身者が本場でトップアスリートになるにはこうした精神力が必ず必要となるわけだが、UCIもそうした問題点を最小化するための施策を用意する。
今回の動きの背景には、プロロードレース界全体が抱える構造的な課題がある。それはやはり他のメジャースポーツ(特にスタジアムスポーツ)と比べても特にスポンサーに強く依存せざるを得ない現状だ。
UCI自身も、競技の人気に比べて収益やメディア露出が十分ではないと認識しており、長期的な成長のためには新市場の開拓が不可欠だと考えている。
そこでこのGlobal 2028によって、若い才能の発掘とその多様化、市場の拡大、ロードレースのビジネス価値を高めようというわけだ。
このGlobal 2028が成功すれば、プロロードレースの勢力図は大きく変わる可能性がある。
これまで欧州中心だった競技構造は、より多極化し、将来的にはアフリカやアジア出身のスター選手が主役となる時代が訪れるかもしれない。
また、競技のグローバル化が進むことで、スポンサー市場や放映権ビジネスにも新たな展開が期待される。
ロードレースは今、競技としての進化だけでなく、グローバルスポーツとしての再設計の段階に入っていると言えるのではないだろうか。
歴史上最高の選手(そうなる可能性が高い)とも評されるタデイ・ポガチャルがいる今、同じタイミングでUCIがそうした戦略に出るのは偶然なのか必然なのか。