ロードバイクとロードレース

アメリカの勝因をジョーゲンソンが明かす。2026世界選手権男子ロードレースでアメリカ優勝を支えた立役者が語るチームワークの勝利

新しい世界王者マクナルティを生んだ米国の勝因とは?マッテオ・ジョーゲンソンが明かす「エゴを捨てた」チームワークの勝利

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2026世界選手権男子エリートロードレースは周回コースに入るとフランスが主導権を握るも、途中から完全に地獄のサバイバルレースへ変化。そして終盤からは誰が(どの国が)主導権を握るのかがせわしなく変化する予測不可能なシーソーゲームとなった。

特に追走集団ではペースアップと遅れた選手の復活が相次ぎ、局面がオセロのようにひっくり返ることが連続立て続けに発生。とても刺激的な展開だった。

そんな地獄のシーソーゲームを制したのは最後の30kmあたりから独走を開始したアメリカのブランドン・マクナルティ。堕ちた英雄ランス・アームストロング以来となるアルカンシェルをアメリカに持ち帰ることに成功した。

→【動画追加】2026世界選手権ロードレースはアメリカのブランドン・マクナルティが終盤に独走して優勝、新世界王者に!そのレビュー、ハイライト動画、結果

そんなアメリカの優勝を中盤から支えたのがクイン・シモンズとマッテオ・ジョーゲンソンの二人。シモンズはマチュー・ファン・デル・プールのアタックに反応してマチューをフォローし続けて、マチューを自由にさせないことと先頭でレースの主導権を握ることに成功。

そしてジョーゲンソンは追走集団からマクナルティを追おうとする攻撃をただ一人で封じ込め続けた。値千金の働きだった。間違いなく彼がいなければ、マクナルティは捕まりアメリカの勝利はなかっただろう。

そんなジョーゲンソンがレース後にアメリカの作戦について次のように語った。

情報源:“We just wanted an American to win”: Matteo Jorgenson reveals the team plan behind McNulty’s Worlds triumph

米国代表の作戦:「誰でもいい。とにかくアメリカにアルカンシェルを持ち帰るぞ」

米国代表はマクナルティとジョーゲンソンを主要な勝負手に据え、シモンズらが状況に応じて先行する戦略を用意していた。

この米国の方針でポイントとなったのは誰がエースになるかを事前に固定しすぎなかったことだ。

ジョーゲンソンによれば選手たちはレース前夜に個人のエゴを脇へ置き、「米国人選手を勝たせる」という一点で合意していたとのこと。

この方針により誰かが有利な集団に入れば残った米国勢は無理に追走する必要がない。複数の勝負手を持つ強みを生かし、他国にレースを追わせる状況を作ることができた。

シモンズがマチューとワウトの動きを封じる

作戦が最初に大きな効果を発揮したのは、ワウト・ファンアールトやマチュー・ファンデルプールを含む強力な先行グループが形成された場面だった。

シモンズがこの動きに加わったことで米国代表は追走の責任を負わずに済んだ。ジョーゲンソンとマクナルティは集団内で力を温存し、ライバル国の選手たちが先行グループを追う展開を待つことができた。

その間にポール・セクサス、フアン・アユソー、イサーク・デル・トロらは攻撃や追走でエネルギーを消費することを余儀なくされた。

米国勢は重要な局面に備えながら、他国の有力選手を消耗させることに成功したわけだ。

集団再合流後に実行された最終プラン

先行していた選手たちが吸収されると米国代表が想定していた勝負の局面が訪れた。

最終的な狙いは再合流直後の混乱を利用し、マクナルティかジョーゲンソンのどちらかを単独で送り出すことだった。

そして実際にはその役割を担ったのがマクナルティだった。

トム・ピドコック、ジュリオ・チッコーネ、デル・トロ、マチュー、マイケル・マシューズらを含む精鋭グループからアタック。ライバルが一瞬反応をためらった隙に独走へ持ち込んだ。

ジョーゲンソンが追走グループを機能不全に

マクナルティが逃げ始めるとジョーゲンソンの仕事は追走グループの中で攻撃に反応し、ライバルの協調を崩すことへ変わった。

ジョーゲンソン自身は追走の先頭を引く必要がない。その一方でライバルがアタックすれば素早く反応し、単独追走を許さなかった。

追走側からすれば、マクナルティを捕まえるために力を使ってもその後ろには脚を残したジョーゲンソンがいる。この状況が各選手の警戒と牽制を招き、組織的な追走を難しくした。

ジョーゲンソンは好調な脚を生かして何度も動きを封じ、ライバルをいら立たせることができたと振り返っている。

この彼のサポートこそがマクナルティの13秒差を守った目に見えにくい決定打だった。ジョーゲンソンの献身的な働きは海外メディアでも勝利を左右した重要な要素として大きく評価されている。

ジョーゲンソンが自ら作成したレース資料

米国代表の作戦はレース前夜に突然生まれたものではなかった。

ジョーゲンソンは世界選手権前、米国バーモント州でトレーニングを行いながらコースやレース展開を分析。通常であれば所属チームのスタッフが用意するような戦術資料を自ら作成し、米国代表の選手たちに共有していた。

その資料をもとに、危険な逃げには必ず米国選手を送り込むこと、他国に対して余計な協力をしないこと、集団がまとまった瞬間に単独アタックを仕掛けることという方針がレース本番でも徹底されたのだろう。その分析がまさに優勝につながったと言えるだろう。

ジョーゲンソンは今回の結果について自身が経験したなかでも最も誇らしい勝利かもしれないと語っている。

米国代表の勝因はチームワーク

以上のように、米国代表の勝因は単純に有力選手を多くそろえていたことだけではない。事前に綿密な計画をたて、情報を共有し、そしてレース本番でもそれを徹底したことが勝因として大きいと言える。

シモンズが早い段階の危険な動きに対応し、マクナルティとジョーゲンソンが力を温存する。集団が再形成された瞬間にマクナルティを単独で送り出し、ジョーゲンソンが後方から追走を妨害する。それぞれが異なる役割を受け入れたことで、米国は人数の多さを実際の勝利へと変えた。

個人タイトルが懸かる世界選手権では同じ代表チームの選手同士であっても利害が完全に一致するとは限らない。それでも米国勢は「誰が勝つか」ではなく、「米国人が勝つこと」を優先した。

マクナルティが獲得した虹色のジャージは、卓越した独走力と、ジョーゲンソンを中心に準備された緻密な戦術、そして選手たちがエゴを抑えて役割を遂行したチームワークによって生まれたものだった。

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