Newsletter Subscribe
Enter your email address below and subscribe to our newsletter

ビアンキが事業再建手続きへ。債務約1億ユーロ、製造・販売は継続する方針
創業141年のイタリア自転車ブランド、ビアンキ(Bianchi)が、債権者からの保護を受けながら事業再建を進めている。
ビアンキがその再建のために今回利用する法制度は、イタリアの企業危機対応制度に基づく再建交渉手続き「CNC」だ。これは破産手続きではなく、経営陣が経営権を維持したまま、自転車の製造・販売を続けられる。
情報源:‘We have been too ambitious’ – Bianchi fights to survive after years of losses
イタリア法人FIVE Bianchi SpAによる事業再建制度CNCの申請は、2026年9月30日に企業登記で公表された。さきほど書いたようにCNCは企業危機の解決に向けて債権者との合意を目指す手続きだ。
裁判所が認めた保護期間は9月末から4か月間となる2027年1月末まで。合計240日まで延長でき、最長では2027年5月下旬までとなる。この間に銀行や仕入れ先と新たな条件での合意を目指すわけだ。
合意に至らず保護が終了すれば、その後、正式な倒産手続きに直面する可能性がある。現時点で破産が差し迫っているという状況ではないが、再建には期限が設けられている。
6月に暫定CEOへ就任したトニー・グリマルディ氏によると、ビアンキは主要仕入れ先から協力の継続を確保している。同氏は、保証やアフターサービスを含めて販売店と顧客への支援を続ける意向も示した。
ユーザーにとって重要なのは、今回の申請が直ちに生産停止や保証対応終了を意味するわけではないという点だ。
ビアンキは自転車市場全体が供給過剰に陥る時期に、新工場の建設、電動自転車の新製品展開、赤字の海外販売会社の引き受けを進めていたようだ。
暫定CEOのトニー・グリマルディ氏は情報源メディアの取材に対し、多くの分野へ同時に多額の投資を行っていたと説明。供給過剰の市場で、あらゆる地域・分野に取り組もうとした事業拡大の行き過ぎを認めている。
市場環境の悪化に加え、複数の投資案件を同時に抱えたことがビアンキの経営を圧迫した。
報道によると、ビアンキは2023~2025年に合計約2,800万ユーロ(約50億円)の損失を計上。直近の詳細な決算が公表されている2024年末時点では債務は約1億ユーロ(約176億円)に達し、このうち銀行向けが64%ほどを占めていた。
また経営体制も安定していなかった。2021年以降、CEOまたはマネージングディレクターは4人が務めており、再建に取り組む間も経営トップの交代が続いていたことになる。
さらに同暫定CEOは、自転車業界では2024年から2025年の2年間に市場の状況が回復すると期待されていたもののそれが実現しなかったことも要因として挙げる。ビアンキ側の見通しが甘すぎたと言わざるを得ないだろう。
ビアンキの親会社はスウェーデンのストックホルムのGrimaldi Industriだ。しかしその傘下にあるグループ会社全てがビアンキのように苦境にたっているわけではない。
CrescentやMonarkを含む北欧事業のCycleuropeは、コスト削減と在庫整理によって2025年に黒字へ転換。一方ビアンキは赤字が続いていた。
今回の取材を受けたビアンキ暫定CEOのトニー・グリマルディ氏は、まさにそのCycleuropeで指揮を取ったあとビアンキに移った人物だ。彼は、Cycleuropeが需要拡大期の後に迅速にコストを削減したのに対し、ビアンキでは対応が遅れたと認める。
上述のようにビアンキはストックホルムを拠点とするGrimaldi Industriの子会社(完全子会社)である。同グループは1997年にビアンキを買収し、現在も81歳のサルヴァトーレ・グリマルディ氏が率いている。
2023年以降は親会社Grimaldi Industriからビアンキの支援のために4,000万ユーロ超(約70億円超)が投入されてきたようだ。2024年のビアンキの決算では監査人が親会社による支援を事業継続上の重要な要素と位置付けている。
しかし今となっては支える側の親会社の財務状況も厳しいようだ。
記事によるとGrimaldi Industriの売上高は2022年以降に約40%減少し、約1億9,000万ユーロ(約330億円)へ。そして2025年には約1,400万ユーロ(約24億円)の損失を出し、3年連続の赤字。ビアンキの業績不振がその大きな要因とのこと。
そのような状況では親会社の支援に頼ることも難しくなり、ビアンキには親会社への依存を減らすため自立的な事業改善が求められるわけだ。
ビアンキは今後ロードレースやグラベルといった中核分野を強化するため、あらゆる戦略的選択肢を検討していると説明している。
一方でトニー・グリマルディ氏は、新たな投資家を受け入れる計画はないと明言。再建策を検討しつつも、現時点では外部の投資家からの支援を必要としていないと主張。
今後の焦点は期限内に債権者との合意を実現し、中核分野を軸に収益を立て直せるかだ。製造・販売や顧客支援を続けながら、投資拡大と対応の遅れによって悪化した経営を修正できるかが問われる。
おそらくはまずは徹底的なコスト削減が実行されるのではないだろうか。