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昨日、アメリカ大統領選に向けて、現職トランプ大統領vs民主党バイデン候補のTV公開討論会が行われ、お互い暴言・暴論の殴り合いと化し、トランプの圧勝となったのはみなさんご存知のとおり。
暴言マシーンであるトランプの戦略どおり。バイデンとしてはそんなトランプと同じレベルになってしまった時点で敗北は確定していた。事前の準備でも、バイデンは絶対に参謀役から「冷静に論理的に反論しろ。トランプとの違いを際立たせろ」という作戦を口酸っぱく指示されいたはず。だが、トランプの暴論に乗っかってしまった。泥沼の中での「裸になった」殴り合いならばトランプが勝つのは明白だった。
そんなアメリカの政治的話題と昨今の世界的問題がリンクしたような事件がロードレース界で昨日発生した。
トレック・セガフレード(Trek-Segafredo)所属のクイン・シモンズ(Quinn Simmons)が、差別的「表現」により、同チームからレース参戦禁止を言い渡されたのである。一体何があったのか?
まずこちらのTwitterの画像をみてもらいたい。
Alguns dos Tweets polêmicos do Quinn Simmons que a juntar a atitudes dele valeram a suspensão por período indeterminado por parte da sua equipa, a Trek.
— Jose Andrade (@JoseAndrade5818) September 30, 2020
O franquista é o Rojas e é da Movistar, outra história pic.twitter.com/aCBg5jmj3i
まずJosé Beenという女性の自転車ジャーナリスト・評論家が、トランプ大統領について「こんなやつを支持し投票するような奴は、私のフォロワーじゃない。消えてくれてけっこう」という内容のツイートをした。
それにコメントをつけたのが、クイン・シモンズである。「Bye」という言葉とともに、「黒い手」を振っている絵文字をつけた。
表現の自由と政治的信条の自由は当然保障されるべきもので、「Bye(ほな、フォローやめるわ。じゃあの)」というそれ自体は許されるもの。
クイン・シモンズ自身も、以前「トランプ支持?」と質問され、「自分はトランプ支持やで(Trumper:トランパー)」と述べていたもよう。
別にどっちの大統領を支持しようとも構わないが、それよりも問題なのは「黒い手」の絵文字である。
そう、黒人を表すであろう絵文字を使った。これが問題の核心であろう。
米国はもちろん世界でも差別に反対する機運が拡大中であるが、そんな中でも現トランプ政権は黒人差別撤廃に消極的であり、白人優位のシステムの存続を重視しているように思われる。
前述のようにトランプ支持者であるクイン・シモンズが、黒人の手を表す絵文字を使って「Bye」と書けば、それは、黒人に対して「さよなら」と言っているようなものではないか?それは社会を分断するような表現であり、差別を肯定・助長するような意味を持つのではないか。それゆえにクイン・シモンズのコメントが問題になっているのである。
このクイン・シモンズの表現を受けて、即座にトレック・セガフレードは彼の無期限レース停止を決定。チーム側から許可が出るまでは一切レースに出場できなくなった。
この素早いトレック側の動きには、2つの背景があると思われる。
1つ目は、トレックがアメリカのバイク会社であるということ。言うまでもなく反差別運動の本拠地である。そんな国の会社が大きな問題となり得ることを放置することはできない。早めに芽を摘まなければならない。
2つ目は、トレックのバイクは警察にも使われているということである。ある地域の警察のバイク部隊のバイクは、トレックが提供している。まるで反差別運動を取り締まる側の警察にトレックが加担しているような印象を与えることになっている。そもそも警察の差別的活動が大規模抗議運動の発端だったことを考えると、いつ怒りの矛先がトレックへ向かうかわからない。
この2つの事情がチーム側の危機感を大きくし、即座の対応に走らせたのであろうと予想する。