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マッズ・ピーダスンの勝機を消した横風作戦。Lidl-Trekはブエルタ第5ステージで集団分断に失敗

第5ステージは終盤の約1時間に複数の登りが設定されていたものの、それまではほぼ平坦なプロフィールだった。フィニッシュ地点のロケテスへ向かう最後の約20kmも平坦で、終盤の登りを越えられるスプリンターに有利なコースと考えられていた。
クラシックでも実績を持ち、登坂力とスプリント力を兼ね備えるLidl-Trekのマッズ・ピーダスンは、マシュー・ブレナンと並ぶ優勝候補の一人だった。
一方でその日は、序盤の開けた平坦路では強い横風が吹くことでプロトンが分断される可能性がレース前から囁かれていた。
そして実際にTeam Visma | Lease a Bikeが横風分断作戦を敢行。彼らがエシュロン形成を試みると、Lidl-Trekも積極的に集団先頭へ選手を送り込んだ。Lidl-Trekにとってそれ自体は悪いことではなかった。
だがしかし、Lidl-Trekの横風作戦で中心的な役割を担ったのは、ほかのアシスト選手ではなくなんとその日の優勝候補だったピーダスン自身だった。これがLidl-Trekにとっての誤算だった。
ピーダスンは多くの場面でスケルモースの前に位置し、総合エースを安全なポジションへ運ぶために集団先頭で奮闘。
彼らは横風を利用して何度か集団分断を試みたものの、決定的な分裂を生み出すことはできなかった。各チームが横風を警戒して集団前方のポジションを確保していたことも、作戦を難しくしただろう。
横風区間を終えてレースが丘陵地帯に入ると、特定のチームがハイペースを作っていたわけではなかったのにピーダスンがメイン集団から遅れる意外な展開となった。本来の彼の力であれば十分ついていけたはずの登りだった。
この時点でピーダスンは横風区間での働きによって相当体力を消耗していたとみられ、本来なら勝負に加われる可能性があったステージで脱落。
ピーダスンは中間スプリントにも参加せず、ステージ優勝だけでなくポイント賞争いに向けたポイント獲得の機会も逃し、第5ステージは彼にとって何も得られなかったステージと言える。
そしてレース後にLidl-Trekのスポーツディレクターのキム・アンデルセンは、ピーダスンが勝負に加われない可能性についてはレース前では想定していなかった事態だったと語った。
第4ステージではスケルモースを山岳で支えられなかったアシスト陣にアンデルセンが苦言を呈していたが、翌日の第5ステージでは、今度はピーダスンがエースを守る役割を担ったことで、チームのステージ優勝の可能性が失われた。
スケルモースによれば、Lidl-Trekは横風でエシュロンを形成する狙いを持っていた。
しかし、ピーダスンが数回にわたってペースを上げても、プロトンを分断することはできなかった。
それでもスケルモースは、仕掛けずに後方へ取り残されるより、成功しない可能性があっても全力で試す方がよいという考えだったと話す。
一方で最後は総合8位の座を守り、大きなタイムロスを避けられた点については肯定的に受け止めている。
Lidl-Trekにとって、第5ステージの横風作戦は総合エースを危険から守るという点では一定の役割を果たした。しかし、集団分断には失敗し、優勝候補だったピーダスンを消耗させただけで終わり、その代償は大きかったと言わざるを得ない。
グランツールでは、総合成績とステージ優勝という複数の目標をどのように両立するかが重要になるが、今回のようにピーダスン本人がアシスト役を担えば、スケルモースの安全性は高まる一方、スプリントで勝利を狙える選択肢は失われてしまう。
Lidl-Trekには、横風区間でピーダスンを温存しながらスケルモースを守れるチーム体制の再構築・修正が必要だ。
第4ステージに続いて明らかになったアシスト陣の課題を修正できるかが、今後の総合表彰台争いとステージ優勝の双方を左右することになるだろう。