UCI「アールツには出場停止処分を課していない」
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今年の2月のシクロクロス業界を揺れ動かしたのが、そのトップ選手の1人、トーン・アールツ(Toon Aerts)のドーピング陽性発覚だ。それについては、過去記事「【シクロクロス激震】スター選手トーン・アールツがドーピング陽性。尿サンプルからレトロゾール検出 」を見て欲しい。
この発覚以来、彼は全てのレース活動を休止している。
そして少し前から2022-2023シクロクロスシーズンが始まっているが、アールツはやはり出場していない。だが、昨日のコッペンベルグでのシクロクロスレースで彼のファンが、UCIに対して横断幕をかかげ抗議の声をあげていた。ファンらは「UCIはなぜトーン・アールツに出場停止させているのか、彼のいないレースは不公平だ」と主張していた。
情報源:UCI says it has not suspended Toon Aerts after fan protests at Koppenbergcross
だが、上述2月のドーピング陽性発覚の少し後の「なぜUCIはすぐにトーン・アールツに制裁を課さないのか?ドーピングと特定物質とは? 」でも紹介したが、発覚したときUCIは彼に出場停止処分を課していなかった。
なぜならその過去記事書いたが、アールツから検出されたのは世界アンチドーピング機構(WADA)が、使用しても「即座の出場停止」にはならない場合を認めている物質だったからだ(EPOやステロイドなどはすぐに出場停止処分)。故意でなければUCIルール上は警告で済む場合もあり、選手側には弁明などの機会が保障されている。
そのためUCIも判断に慎重となっていたのだろう。その後も現在に至るまでUCIはトーン・アールツに出場停止処分は課していない。
しかし、昨日ファンたちはそれを勘違いし、アールツ欠場はUCIによる制裁だと認識していたようだ。それでUCIに抗議をしていたのだろう。
その抗議をうけ、UCIはその後正式に声明を発表。ファンらの勘違いを正した。UCIは「レースに出場しないのはUCIの制裁ではなく、アールツ本人の意思によるもの」と明確にした。
なおトーン・アールツは9月に所属していたBaloise Trekとの契約を相互同意にうえで終了させている。