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BOAダイアル式シューズより最大10W速い?プロレースで靴ひも式シューズが最新技術のトレンドか。世界選手権で広がる空力トレンド
最新のロードバイク用シューズといえば走行中でも締め付けを調整できるBOAダイヤルが主流だ。しかし、2026年UCIロード世界選手権では昔ながらの靴ひも式シューズを選ぶトップ選手が数多く存在したようだ。
今回のネタの情報源メディアが確認したところ、先日の世界選手権男子エリートロードレースでは少なくとも18人が靴ひも式(レースアップ式)シューズを使用。レムコ・エヴェネプール、ポール・セクサス、プリモシュ・ログリッチ、マテイ・モホリッチらも含まれていた。
そしてプロ選手が靴ひも式へ回帰する理由は、単なるデザインの好みではないようだ。軽量性やフィット感に加え、シューズ表面の突起を減らせることによる空力性能が大きな要因とみられている。
情報源:The Hottest Marginal Gain in the WorldTour: Shoe Laces
BOAダイヤルはシューズの甲から外側へ円形のパーツが突き出した構造になっている。このダイヤル部分が走行風にさらされるためわずかながら空気抵抗を増やす可能性がある。
一方、靴ひもはシューズの中央に沿って低く収まり、表面を比較的滑らかにできる。正面から受ける風の流れを乱しにくいため空力面では有利になるという考え方だ。
足元はライダーの身体や自転車のなかでは小さな部分だが、ペダリングによって高速で回転し続ける。トップレベルではこのわずかな抵抗の差も無視できないマージナルゲインとして考えられているらしい。
プロロードレース界で空力開発に携わる匿名の専門家は、同系統のシューズでBOAダイヤルから靴ひもへ変更した場合、3〜10W程度の差が生じる可能性があると情報源メディアに説明する。
また、元ワールドツアープロ選手で現在XDS Astanaの空力エンジニアを務めるアレックス・ダウセットも風洞実験を実施。BOAダイヤルと靴ひもを比較したテストでは約1%の差が測定され、平坦な個人タイムトライアルを想定すると約4Wに相当すると考える。
ただしこの3〜10Wという数値はすべてのシューズやライダーに共通する保証値ではない。シューズの形状、ダイヤルの配置、速度、脚の角度などによって結果は変化する。。
エヴェネプールやログリッチらにシューズを供給するスペシャライズドによれば、プロ選手は締め付けの感触、空力性能、軽さを組み合わせてクロージャー方式を選んでいる。
ただし、同社は快適性が極めて個人的な要素であることも強調している。足の形や好みは選手によって異なり、空力性能だけで最適なシューズを決められるわけではない。
靴ひもは足の甲全体へ圧力を分散させやすく、好みの締め付けに細かく設定できる。一度適切に結べば、軽量かつ低い形状を維持できる点がプロ選手に支持されているようだ。
その一方、理想的な締め具合に調整するには手間がかかり、レース中に締め直すことはほぼ不可能だ。選手にはスタート前に正確なフィッティングを仕上げる経験・工夫が必要だ。
このスペシャライズドの説明だと、ひも式を選ぶプロの判断基準の重要ポイントは快適性やフィット感だと思われる。
靴ひも化による空力効果はエアロシューズカバーで得られる効果に近い場合もあるという。
シューズカバーはダイヤルやシューズ表面を覆い、外形を滑らかにできる。マチュー・ファンデルプールをはじめ、ロードレースでも完全なエアロシューズカバーを使用する選手が過去に確認されてきた。
しかし、密着性の高いカバーは装着に時間がかかるうえ通気性が低下する。世界選手権のような約270kmの長距離レースや気温の高い日には、蒸れや不快感がデメリットになる。
靴ひも式シューズにエアロソックスを組み合わせれば、シューズカバーを使わずに低い空気抵抗と通気性を両立できる。これが長距離ロードレースで靴ひもが選ばれる理由の一つと思われる。
もちろんすべてのトップ選手が靴ひもへ移行しているわけではない。たとえばマチュー・ファン・デル・プールがそうだ。
この世界選手権で彼は、靴ひももシューズカバーも使用せず、新型のShimano S-Phyreとエアロソックスを選択。S-PhyreはBOAダイヤルを採用しており、シマノは現時点で靴ひも式のロードシューズを展開していない。
世界選手権では靴ひもを使用する選手とシューズカバーを使用する選手がほぼ同程度確認されたもよう。
選手やスポンサーによって空力性能を追求する方法は異なるだろうし、プロはスポンサーの製品を使わざるを得ないこともあるだろう。
靴ひも式シューズが向いているのは、空力性能・軽量性・快適性を重視し、乗る前に時間をかけてでも最適なフィット感を追求することにこだわるユーザーだろう。
たとえば個人タイムトライアルや短時間の高速レースでは、途中で締め付けを変更する必要が少ないため、空力上の利点を生かしやすいだろう。
世界選手権のような長距離レースでも、靴ひものフィット感による快適性と、エアロソックスと組み合わせる空力の向上を求めるなら有力な選択肢になる。
一方、走行中に足の状態が変わりやすい人や、頻繁に締め付けを変更したい人にはBOAダイヤルが適しているだろう。
一見すると時代を逆行するような靴ひもの復活だが、その背景には空力、軽量性、通気性を総合的に追求するプロロード界の合理的な判断がある。
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