レビュー
Rapha






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なぜLidl-Trekはヘルニアの症状に悩むスケルモースをまだ走らせているのか?
Lidl-Trekで走る25歳のデンマーク人クライマーであるマティアス・スケルモース(Mattias Skejlmose)。今年はなんといってもアルデンヌ・クラシックの1つアムステル・ゴールド・レースでタデイ・ポガチャル(Tadej Pogačar)やレムコ・エヴェネプール(Remco Evenepoel)を破って優勝したことが大きな栄光となった。
また世界選手権ロードレースでは惜しくも表彰台を逃したものの4位、さらにヨーロッパ選手権ロードレースでも7位と大健闘の走りを見せた。
そんなスケルモースだが実はヘルニアという問題を抱えながら、ワールドツアー最終戦ツアー・オブ・グアンシーに参戦している。再発や悪化のおそれがあるにもかかわらずなぜチームはそんな彼をもはやシーズン終了しようとしている時期のレースに出場させているのか?
マティアス・スケルモースがヘルニアになったのは昨年の世界選手権の朝に朝食を食べようとしていたときだったらしい。そして今年のイル・ロンバルディアで再発。ロンバルディアをリタイア(DNF)せざるを得なかった。
そんな彼だが再びまたいつ悪化するのかわからない状態で彼にとってシーズン最終戦のツアー・オブ・グアンシーにも出場している。第1ステージは無事に完走したが、まだヘルニアの痛みは残っており、全てはヘルニアという爆弾を抱える体と相談しながらの走りであり、いつレースをリタイアしてもおかしくない状態だと語る。そのため、総合成績を狙うというのはかなり無茶な目標だとも言う。
ではなぜそんな状態の彼をチームは出場させているのか?Lidl-Trek自体はProTeamに降格となるような危険とは全く無縁であり、安心してシーズンを終えられるはず。それでもなぜエース格の1人であり、ヘルニアに悩むスケルモースを走らせているのか?実際、スケルモースも「最初は自分が走りたいといったレースじゃなかった」と述べる。
しかし実際にはワールドツアー終盤のかなり以前にツアー・オブ・グアンシー出場が決まっていたようだ。チームとしてはスケルモースに対して、「ワールドツアーで勝てるチャンスやん。参加したほうがええで」と勧めたとのこと。そしてスケルモースも最終的にそれに同意し、ツアー・オブ・グアンシー出場が確定したようだ。
またチームが彼にそう勧めたのはもう1つ理由があった。それはその時点ではUCIチームランキングで2位にいるTeam Visma | Lease a Bikeを3位のLidl-Trekが追い抜ける可能性があったからだ。現時点では追い抜くのは不可能となってしまったが、スケルモースがツアー・オブ・グアンシー出場を決めた時点ではまだその可能性があったのだ。
ただそこから現時点までにTeam Visma | Lease a Bikeとの差が広がり、かつスケルモースのヘルニア再発という不幸が重なったため、ひとまずスケルモースには予定どおりにツアー・オブ・グアンシーを無理をしない範囲で走ってもらってシーズンを普通に終えてもらうというプランに変わったのだろう。
シーズンをいつもと同じようなスケジュールで綺麗に終えるというのもアスリートとしては重要なことだろう。