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Rapha



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マチュー・ファン・デル・プールが、UCIによる参加チーム増加とプロトンの人数拡大に少しの懸念か
今年のツール・ド・フランスでは、今年のジロ・デ・イタリアとおなじくワイルドカード枠が1つ増加となり全23チームでの戦いとなる。これはUCIが春にグランツールでのワイルドカード枠増加を認めたからだ。
この件に関して、昨年のジロの公式プレゼンの延期とそれにまつわるワイルドカード枠増加についてはこれまでも以下の過去記事などで伝えてきた。
そして昨日ツールを前にした記者会見に登場したマチュー・ファン・デル・プールは、このプロトンのサイズ拡大について「間違った選択になるかもしれない」と懸念を口にした。
そもそもUCIは2018年にプロトンの人数の増加が落車などのリスクを高めるため、1チームを9人から8人制としてサイズをコンパクトにした経緯がある。
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それにもかかわらず今年は再びサイズ拡大という方針変更。特に昨年あたりからプロトンの安全向上のためにSafeRなどの体制・施策を講じてきている中で、その安全向上のポリシーと矛盾するようなサイズ拡大はUCIとして一貫性を欠くのではと思われる。
このプロトンの人数増加という点ついて、マチューは、
“This doesn’t change a lot, I think it will always be unsafe in the bunch, whether you add something or not.
訳「人数が増えようと安全面ではあまり変わらない。常にプロトンは危険だと思っているし、それは多少人数が増えようが増えまいが関係ない」
このように述べつつも、同時に、
“This will be something that will never get out of cycling, but maybe making the bunch even bigger is a mistake, I think less teams, less riders, this will make the biggest difference to be honest.”
訳「落車のリスクなどはロードレースでは不可避だが、しかしプロトン拡大といった選択は間違いになるかもしれない。ただ自分としてはチームも選手も少なくするほうがリスクという観点では意味があると思う、ぶっちゃけ。」
マチューは以上のように語り、多少人数が増えた程度で現状のプロトンのリスクは変わらないとしつつも、だからといって増やすという方向に動くことにはちょっとした憂慮を抱いているようだ。
ただ実際のデータから人数拡大が悪影響を及ぼしているかどうかは不明が点が多い。だからこそマチューも人数拡大が絶対に危険というような言い方はしてないのだろう。
たとえば今年のジロ・デ・イタリアについては選手会CPAの会長アダム・ハンセンが言うところによると、人数が増えたことについてプロトンから悪い意見はなかったらしい。彼は、ジロはスムーズに進行していたと考えている。
また実際に増えるのはワイルドカード枠のProTeamであるが、ProTeamがグランツールのプロトンに与える影響というのはさほど大きくないと考えられる。
というのも、ProTeamがプロトン(メイン集団)先頭でガンガンやりあうというシーンは少ないからだ。どちらかといえばProTeamはスタート直後から逃げに乗り、プロトンから遠く離れた場所でレースをすることが多い。そのときそうしたチームの他のメンバーはプロトン後方で走っている。ある意味でプロトン内部で役割分担ができている、または異なるレースをしていると言えるかもしれない。
よってProTeamが増えてもプロトンにあまり大きな影響を生むことはないのではないか。
プロトンの人数どうこうよりも、路面の悪さ(滑りやすいなど)、道の狭さ、不適切な道路標識や案内といった要素が落車に与える影響のほうが大きいのではないか。