レビュー
Rapha


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モン・ヴァントゥ2回の第11ステージは、エアロロードバイクと軽量ヒルクライムバイクのどちらが速い?
今日の2021ツール・ド・フランス第11ステージは、ツールの象徴である魔の山モン・ヴァントゥを2回登るという鬼畜なコースとなっている。
それでは、その「モン・ヴァントゥを2回登る第11ステージ」においては、昨今流行し万能化するエアロロードバイクとより軽量なヒルクライムバイクではどちらが速いのか?
技術的な観点からスイスの空力研究の専門組織「Swiss Side」とロードレースファンにはおなじみの専門組織「AeroCoach」の両者がコラボして分析した記事をご紹介。
結論を端的に述べると、モン・ヴァントゥありの今日のコースでは軽量なヒルクライムバイクよりもエアロロードバイクのほうが速い。
そのような分析結果が情報源記事には書かれている。ただ、ここで注意して欲しいのはあくまで「総合的な性能」という観点からの分析結果であるという点だ。
この「総合的な性能」には、バイクの重量だけでなく、エアロ性能、タイヤの性能(転がり抵抗)、走っている状況(一人か複数人か)といった要素も含まれている。それらの複数の要素を考慮した上での総合的評価としてエアロロードバイクのほうが登りでも速いということだ。
もちろん実際にエアロロードバイクのほうが速いかどうかなんてわからない。乗り手の体重、乗り方・ポジション、ライバルの動き、風向き、肉体のコンディションなど様々な要素が結果を左右するからだ。
しかも今日のコースはモン・ヴァントゥを2回だ。1回ではなく2回なので登りの距離は長くなる、一方で全体の走行距離も長くなる。そういった今回のコースの特殊性も分析に影響している。
今回の分析結果はあくまで「2021ツール・ド・フランス第11ステージ」のコース特性・内容を前提したものだ。日本でよく行われる、ただ登るだけのヒルクライムレースとは全く異なることに注意してほしい。
今回の分析ではどういった要素が考慮され、そして各要素においてエアロロードバイクとヒルクライムバイクのどちらが速いのかの結果が記載されている。それらをまとめておく。
考慮要素 | 勝者 | |
---|---|---|
第11ステージ全体を独走する場合 | エアロロードバイク | |
第11ステージ全体を二人で協調する逃げの場合 | どちらもOK | |
モン・ヴァントゥのBédoinの登りを一人で独走 | ヒルクライムバイク | |
総合系エースとそのアシストの計2名でBédoinの登りを登る場合 | ヒルクライムバイク | |
最後の下りを一人でくだる場合 | エアロロードバイク | |
タイヤの転がり抵抗 | エアロロードバイク |
最後の項目の「タイヤの転がり抵抗」についてだが、軽量ヒルクライムバイクは普通、チューブラータイヤを履いていることが多い。そして今回もヒルクライムバイクにはチューブラータイアを履いていることが前提となっている。一方で、エアロロードバイクはチューブレスかクリンチャーを履いていることが前提となっている。
現在ではみんな知っているように、最も転がり抵抗の低い最速のタイヤはチューブレスかクリンチャーである。そのため、チューブラーを履いているヒルクライムバイクは、転がり抵抗という点で不利である。
この転がり抵抗のデメリットが、軽量ヒルクライムバイクのメリットを打ち消してしまうという分析となっている。その結果エアロロードバイクのほうが、「転がり抵抗」という点では有利だということだ。
そしてこれら上表の「データを総合的に判断」すればモン・ヴァントゥが2回の今日のコースではエアロロードバイクのほうが速いという結論に至った。詳しい分析内容やデータなどは情報源記事を見て欲しい。