レビュー

Rapha



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昨年イネオスからは中心人物の多くが抜けることになったが、同時にトム・ピドコックによるチームへの批判というニュースも世間を騒がせた。
またそのピドコックに加えて、今年を最後にイネオスで引退を飾る予定のベテランのGことゲラント・トーマスも、トム・ピドコックが昨年のイル・ロンバルディア出場選手に選ばれなかったことについてチームの考え方に疑問を呈する意見を出していた。G曰く、「チームは選手の ”パフォーマンス” という観点ではなく、チームの ”マネージメント” という観点を優先した」。
その両名に加えて今回は、昨年までイネオスで走っていた26歳のイギリス人イーサン・ヘイターもイネオスを批判する考えを口にした。
イーサン・ヘイターは今年からスーダル・クイックステップで走っているが、昨年までのイネオスについて、次のように語った。
“A breath of fresh air compared to Ineos. If you run a cycling team like a company, the riders and staff lose their passion. That was the case with Ineos in recent years. Racing felt more and more like a job,”
訳「イネオスと比べたら、スーダル・クイックステップでは新鮮な気持ちを味わってるで。もし自転車チームを企業にように運営するなら、選手もスタッフも情熱を失っていくだけよ。それが最近のイネオスの状況やったんよ。レースがどんどんただの流れ作業のように感じるようになってたのよ」
この発言に続いて、ヘイターは「イネオスは勝手に自分のレース予定を変更して、好きなレースに出られなくなったということもあった」と語り、特に昨年のジロ・デ・イタリアに出場予定だったものの突然その機会が奪われたことを例に出し、そうしたことへの不満があったのもうかがわせる。
こうした彼の発言から予想されるのは、世間でよく言われるところの意思疎通の不足、チーム側と選手との間のコミュニケーション不足だろう。
昔ながらの上意下達というか、上司の指示が絶対で下のものはそれに従えばいいだけという、会社の経営上の都合が最優先という姿勢だろう。組織としての「システム」が最優先され、選手はそのシステムに組み込まれた歯車にすぎないという考え。
思い起こせばチームSky時代から同チームは「仕組みづくり」が上手かったように思われる。よくわからん怪しいコンサルや意識高い系の人間がSNSやネットでよく使う言葉の1つが「仕組みづくり」だが、もちろんチームSky初期はそのような陳腐な言葉ではなく、本当に真剣にそれに取り組んでいたはず。だからこそあれだけの黄金時代を築けたのだろう。
だが組織も人間も時間が経つと形骸化し劣化していくもの。作られた仕組みが、やがてその仕組み通りに動くことそのものが最重視されていく。その結果失われていくのが、現場の末端で働く人間たちの感情であり仕事へのモチベーションだろう。
??「変わらなきゃも変わらなきゃ」
選手のレース予定が突然変更になるのも、負傷者の発生などで仕方がないことではある。だがその場合でも、首脳陣が選手個人と向き合って丁寧に説明してコミュニケーションを図っていれば、今回のような不満は少なくとも軽減できただろう。
今年から新体制となったイネオスだが、こうした選手とのコミュニケーションの重要性を認識して実践していけるかどうかがチームの復権にも大きく影響してくるのではないだろうか。どこの企業でもよくあるタイプの問題ではある。
🐷「いやしらんけど」